MIの概念

MIの概念がう蝕治療に取り上げられて久しい咋今では,このコンセプトを幅広
く踏襲しようという試みが提唱されてきた.とくに国内では,2004年12月に発足した日本顕微鏡歯科学会の活動がその礎となり,MIと拡大視野下の治療
の優位性が,う蝕・修復治療,根管治療,そして歯周形成外科の分野で,より活発に議論されてきた.
そして,211年には,歯科CT撮影との併用により,手術用顕微鏡を用いた一部の根管治療と,歯根端切除手術が先進医療の一つとして保険導入され,現在,
その運用かされている.このことは,国内における手術用顕微鏡治療の画期的な成果の1つであり,れまで以上に拡大視野下の歯科治療の有用性が知ら
れる契機となったことは,純枠に歓迎すべき潮流であろう.


一方で,Mーでも侵襲のないアプローチ(経過観察)
をもつう蝕治療とは異なり,形成外科手術には多少なりとも外科的侵襲をともなう.よって「0」を含むMーとの区男リのために,最小限の手術侵襲と称するがふさわしいかもしれない.

具体的には,外科的侵襲を抑えなから
術野の血流を十分に確保し,生物学的,審美的にも
満足しうる治療結果を達成しようとする試みがM
の趣旨とされている。
近年,従来では手術侵襲の大きいとされるbone
graftや,難易度の高いインプラント治療においても
MISが適応されるようになった4.患者の負担を軽
減し,さらには審美的な治療結果を提供することは,
患者主導型の治療方法を目指す良き選択と言えるが,
その一方で,術式の習得は一日にして成就するもの
ではなく,併せて術者には高次元の学際治療のセン
スカー求められる
したがって,本稿では,マイクロスコープ視野下
にて行われたインプラント治療を取り上げ,MISに
よって患者の満足が得られる。

GBRにおける一次治癒達成のために

GBRにおける一次治癒達成のために

一次治癒達成のために,テンションフリーで歯肉
弁断端どうしの正確な一次接合の縫合を行う必要が
ある.そのためにまず切開からひも解くことが重
要である.


・切開
一次治癒達成のため,
そのファーストステップとしての切開は,粘膜に対し90。の鋭利な切開を行う
ことが肝要であり,マイクロサージェリー用のメスは鋭利な切開に有利である
拡大下では細部まで見えるため,組織に対して器具操作の1つひと
つが自然とていねいになっていくことを臨床上経験
する.歯肉弁形成の際,メスのコントロールやフラップの取り扱いも自然に繊細に行うようになる.

減張切開においては,1本の切開線で骨膜に切開
するが,マイクロスコープ下では,実際にどの部分
が切開でき、どの部分が切開部族であるかを影のない
明るい視野が確保されるのではっきりと把握できる

 

歯肉弁の固定のための縫合

歯肉弁どうしが所定の位置で動かないように留め
ておくための縫合で,埋没型の垂直マットレス縫合
が用いられる.糸のサイズは太いもの(5程度)を
用い,縫合線から離れた位置に縫合針を刺人,刺出
する.そのような場合,筆者は通常ePTFEの縫合糸
を選択している.理由として,同糸がモノフィラメント
で増締め可能であり,テンションコントロールを
行いやすいことが挙げられる.1重-1重縫合の後,
糸両端を徐々に引っ張り,弁両端が接する程度まで
増締めを行い,その時点でさらに1重結節をつくる
ため,1重重重縫合となる.本縫合は弱拡大
で行うことから3~4倍程度のルーべを使用するこ
ともしばしばある。

 

弁断端を接合するための縫合
術後に創裂開を引き起こさないようにするために
は,テンションフリーで歯肉弁断端どうしを正確に
接合するための縫合で,断続縫合が用いられる.

縫合線近くの組織に可及的にダメージを加えないよう
にするため,糸のサイズは細いものを用いる.

糸の張力と組織損傷に関する研究で7-0の細い縫合糸を適切に
扱うためには,手指感覚よりも視覚的なコントロー
ルが要求されると述べており,この種の縫合は10
倍程度の拡大下で行うほうが適切に行えると考えら
れる.よってマイクロスコープを使用し,拡大下で弁断端どうしがちょうど接合
するのを視認しながら縫合するようにしている

マイクロスコープの優位性

マイクロスコープの強拡大により,
よりよく見えるようになる
毛細血管のループを確認することができる.
また,データを収集することにより
マイクロスコープで拡大することでより詳しく見
ることができる。また,明るい光のなかでみ
れば確実にみることができる.術者であるわれわれ
は,診療中にいろいろな感覚を使用するが,とくに
視覚は大きな割合を占めるといわれる.

見えることが向上することで,治療時の大きな助
けになる.すなわち,見えることによって,より正
確な情報を得られる結果,診断ミスも減り,また原
因を突きとめることも可能となり,原因除去につな
がる.

大切なことは基本的なミスを少なくする要因となる.
自分の手技を振り返り,基本的なミスをしなく
なる.より多くの情報か得られることで自分の技術
のクオリティを上げられることはもちろん,同じ人
間が同じ治療を行った場合,肉眼で行うよりもマイ
クロスコープを用いたほうがよりクオリティの高い
治療結果につながっていく.
マイクロスコープが日本の歯科界のレベルを上げ
る要因になるのは明らかである.ペリオ,ェンド,
インプラント,補綴,修復などさまざまな分野にお
いて有用である.
たとえば補綴を例に挙げると,肉眼では適合が良
いように見える場合でも,マイクロスコープで拡大
して観察するとギャップが確認できることがある.

マイクロースコープの増加

マイクロスコープは15年間での販売台数が約3,000台だったのが,

その後のたった5年で約4.000台が版売されたと聞く.
その背景には,CBCTとマイクロスコープを用いた

MB2や樋状根の根管治療が保険適用になったこと

歯根端切除術が保険適用になったことが原因だと考えられる。
渡り鳥が群れをなして飛んでいくときに,

先頭を飛ぶ鳥に導かれていくことを意味してい
が挙げられる。

いずれにしても,多くの歯科医師が
2017年に行われた第1回日本顕微鏡歯科学会学
にマイクロスコープの有用性が認められた証拠で
学術大会のテーマをそれにしたのも,原因だと
えよう.現在では,開業時の設備の1つとしてマイクロスコープを導人する医院も増えており,今後ますますマイクロスコープが普及することで,日本の歯科のレベルが上がっていくことは間違いないとい
ものである.
日本における現在のマイクロスコープの歯科界の方向性を日本顕微鏡歯科学会が作ってていってほしいという思いからつけた



マイクロスコープの立ち位置と,今後の方向性について考えてみたい.
はじめに
マイクロスコープの特徴
マイクロスコープをめぐる状況
マイクロスコープにはさまざまな特徴があり,
般的には,「拡大」「照明Ⅱ記録」が3大特徴とされて
いる.

上顎前突症患者に対し、機能的装置は、有効か?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本矯正歯科学会から出ている
「 矯正歯科診療のガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

上顎前突症患者に対し、機能的装置は、有効か?

 

一般的には機能的装置が成長期の上顎前突に対して、骨格系の改善に臨床的効果を及ぼすという科学的根拠
はなく、むしろ否定的といえる。しかし、治療が功を奏する者とあまりうまくいかない者が存在することは否 定できない。今後は機能的装置の適応症を検討することも必要となるであろう。

 

上顎前突に対する機能的装置は骨格系の改善に有効か否か検討したシステマティックレビューまたはメタ アナリシス(エビデンスのレベル I)が 5 編認められた。論文選択基準に多少の相違はあるものの、いずれの 研究も同一条件下で治療を行わない II 級対照群が存在していることを論文選択の条件としている。厳密な方法 論を用いており最新の文献 1(エビデンスのレベル I)では、機能的装置による下顎骨長に対する増大促進効
果は統計的に有意なものであったことを示しつつ、変化が小さいため臨床的な有用性に疑問を呈している。ま た、文献 2(エビデンスのレベル I)では Fränkel 装置が下顎の成長に対して統計的に有意な効果を及ぼしたこ とを示しながら、様々な要因によりその効果が誇張されたものであることを指摘している。文献 3(エビデン スのレベル I)では上下顎関係の変化に効果があったと述べているが、その評価項目は SNA、SNB、ANB、オ ーバージェットであり、歯性の変化による影響も考えられる。文献 4(エビデンスのレベル I)では articulare から pogonion あるいは gnathion までの距離が有意に増加し、その他の計測項目では有意差を認める項目はな かったと述べているが、文献 1 では articulare を下顎骨長計測の基準として用いることに疑問を呈しており、 実質的に有意差を認める項目はない可能性がある。文献 5(エビデンスのレベル IVb)では機能的装置は平均
的には上顎の成長抑制や下顎骨の前方成長の促進はもたらさなかったこと、下顎の垂直的な成長はわずかに促
進されたこと、効果がある者とあまりうまくいかない者が存在し、治療に対する反応のヴァリエーションが広 いことを述べている。