矯正のディスキングに関する資料②

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
「 矯正のディスキングに関する資料」 を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

その後,咬合システムがまったく追いつけないほどに,事態は急変した.それは約
50万年前,火および原始的な道具の使用から始まった.
このことは,川0万年前から進化を求められてきた食物加工に対する急激な変化の中で最も重要であった.
それは政治的,文化的,法的発展を必要とした農併生活の発展によって導かれた.
原始的生活から組織社会への移行は,視覚的絵画の発展を生み,
社会的生存の基礎となリ,われわれの性である美意識の核を築いた.

後に,主として切ったりつかんだりするための食卓器具が使用されるようになった

やがて,産業革命が食品産業を生みだし,急速に発展した都市中心部に起こった新た
な社会現象である共働き世帯に食物を提供することになった.
この消費指向のライフスタイルでは,食物を採取したり準備するための時間はほとんどなく,
またその必要性もなかった.
そして,食品サーピス業が食物を加工し,それと同時に力強い筋肉の必要性もなくなった.

しかしながら,石器時代にあった咬耗を代償する素晴らしい咀嚼器官は,すべて今
もそのままである.
自然挺出,強力な咬筋,摩耗したエナメル質面の再石灰化,および工アーーローーターー・
ストリッピングに適した隣接面エナメル質の厚さ.人間は洗練されたライフスタイルに
すぐ移行できるほどに厚かましいが,自然は何千年にも及ぶ発展の金期を消し去りはしない.
自然は強力な理山があるときだけ生理学的な変更をする.
再生能力が妨げられ,またはそうするのに十分なだけ長生きする能力がなくな
ってしまっているように.そのために,かっては明確な目的があったが,現在では重
要性を失った手足の爪,体毛および厚い隣接面エナメル質のような生理的なお荷物を
われわれは持ち歩いているのである.

これらの退化した組織は,われわれにとって邪魔にはならないが,役立っこともない.
事実,それらはスペースを占めること以上の
意味はほとんどない.そして,そのスペースは臨床家が叢生を改善するために必要と
しているものである.
われわれ人間は,ーっの種として,困難なく足早に遠くまで歩んできた.われわれ
が動物界における最も効果的な(咀嚼器官による)食物加工を置き忘れてしまったほど
足早に.われわれの精巧な咬合メカニズムは,現代の食物を加工処理するために完璧
に設計されている.
歯列は,かっては重要な目的をもっていたか:現在では機能的な
働き以上に社会的な役割を果たしているように思われる.
それは美を構成するモザイクの重要なー片のようである.
岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く
約年前,ポンディングは歯に矯正装置を接着する方法としてバンディングに取っ
て代わった.この進歩はチャンスをつくり出した.つまり,臼歯部の隣接面はもはや
全属バンドで覆われることはなくなったのである.臼歯を直接観察でき,しかもアク
セスが容易になったため,ストリッヒング(削除)が可能となった.工アーローター・ス
トリッビング(「-日0わ「Stnpping,・RS)はこの新しいテクノロジーを活用して考案さ
れた.
円85年,ARSに関する初めての論文が発表された’.それに続く文献や臨床的観察
しかし,ハンドピースを手に取ること以上は,ARSの急速な普及に貢献してきた:二
にARSの採用を躊躇させるのは,隣接面エナメル質のストリッピングが,病理的問題
を誘発しないかという疑いである
ARSによって,起こり得ることは三つだけである.隣接面エナメル質の向上,悪化,
あるいは同じ状態の維持である.歯周組織は非病理的な適応により生じる隣接面の摩
耗に反応し,ARS部位はもとのエナメル質と比:べ,疾病に対して抵抗力が高まると考
えている.この観察は,正確な観察や確証のあるデータに裏付けられている.

通常,前歯に行われる隣接面のストリッピングは,何十年にわたり文献に記述され
てきた.そこには病理学的変化が誘発され得るという推測もいくつかあるが,今まで
のところ,病理的変化を生むとする観察データはない.文献におけるこの重大な欠点
は,その相関関係を立証することの難しさに起因している.
人類学に関する文献は,摩耗した隣接面エナメル質が非病理的であったという観察
を示している冖:.このデータの重要性は,何千年もの間に自然に生じた隣接面の摩
耗の記録ではなく,失われたものは何かを知ることである.つまり歯科疾患との相互
関係が重要である。
人類学者たちが生理学を墲視しているわけではない.膿瘍や歯槽骨の損失を記録す
ることは,彼らの観察の基本である当隣接面の摩耗についての大量の人類学的デー
タを理解しやすくまとめると,
それは食物やライフスタイルと相互に関係する当然のプロセスであり,
摩しやすい面(咬合面,隣接面)におけるより厚いエナメル質の存
在,第ニ象牙質,自然出など,疫システムをコントロールする能力に似たメカー
ズムによって代償されているのであるこれらのプロセスは,咬合システムに
おける摩耗にかかる力を補償するために直接的で強制的なプロセスを確立しながら,
何千という文化の中で何千年もの間共生して働いてきた。

これらの現象は,それらが
旧石器時代の未開人に対して同様,現代社会においても意味をなすものである.
人類学的観察からARSを正当化することは魅力的ではあるが,そこに欠点があるこ
ともは明白である.この都合のよい単純化は,原始人にゆっくりと生じた自然摩耗に
対する歯周組織のポジテイプな反応が,ARSやc司droⅲgelの即時性に有効性を
与えるのかという問いに対する答えを回避している.
生物学的構造の積極的な利用は,より強くそしてより健全な組織をつくり出すもの
である.そして,歯,歯槽骨および歯周組織の反応が極めて鈍いことには疑間が残る
砂混じりの食物および強い咀嚼力の影響とは同じでないにしろ,隣接面エナメル質の
削除,歯のサイズの変化,接触点の拡大,そして再石灰化を容易に受け入れるエナメ
ル面の形成における最終的な結果は本質的に同じである.論点は,ARSの効果自体が
自然を模倣しているのか,または隣接面エナメル質の機機的削除が,自然の防御プロ
セスをなくしてしまうように働いているのかということである.このことを解決する
ために確固たるデータが必要である.

歯周疾患との関係
歯周疾患との関係について過去に行われた研究は,隣接面のストリッピングによる
根間組織の圧縮が,歯周疾患の原因になり得ることへの考察に集中していた亠ー第無
批判にこれらの所見を受け入れることは,もはや適当ではない.
ARSスペースを一mm閉鎖することが,歯周疾患に関して疑問視されるならば,自然
に存在する臼歯部の狭いスペースもまた,その影響が同しであるため,疑わしいもの
と判断すべきである.つまり,歯槽骨頂および歯間軟組織が橋正的に圧縮されるから
である.減少したスペースに組織か強応することを知っているので,臨床家は病理的
変化か誘発されるかもしれない不安をもたずに,臼歯部に自然に存在するわずかなス
第2章工アーローター・ストリッビング図RS)の生理学的原理

矯正のディスキングに関する資料

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臼歯の近遠心の外郭はすべてエナメル質である
臼歯の歯冠はテーーパー状になっており,前歯の2倍に当たる十分に厚い
隣接面エナメルに厚いエナメル質が存在するため,その部位を削除の対象とするのである。
臼歯部の隣接歯間部 主として臼歯部隣接面の削除一一の基準となる.悪名
用いて,おもに臼歯部の隣接面エナメル質を削除することを表す用語であるに.
象牙質ーエナメル質境を表す線が,咬耗を補正する厚いエナメル質の存在を示している.
隣接面エナメル質の削除療法は,通常は前歯に限定され,下顎切歯ではめったに行
われないが,それでは軽度の叢生(2~3mmしか改善できない5二それ以上の改善を
得るためには,隣接面エナメル質が不足しているのである.通常,臼歯部隣接面の豐
隆を利用すると,最大で歯列弓長の8mmが獲得できる.これは抜歯か,非抜歯かの判断には重要になる。

ポーダーライン上にある症例を改善するためには,十分な量である.それ以上の叢生
は,抜歯を検討することになろう.
前歯隣接面のストリッピングに関する文献は数多く発表されている.
咬合面を調整するために高速バーを用いたり,切歯の隣接面を削除するために研磨ストリップスを
用いることは,臨床家にとっては比較的楽なことである.
しかし,複数の臼歯において隣接面エナメル質を削除することは,楽なことではない.
いかなる病的変化も伴わず,あるいは咬合関係を変化させすに有意なスペースがつくり出せる
ならば,抜歯または拡大と比較して魅力的な選択となることは明白である.
しかし,臼歯部の隣接面エナメル質の意味について人類学的および生理学的概観を広い見地から考察することは,
臨床家が工アーローター・ストリッピングの概念を正しく評価するために役立つ.
人類学的な見地から始めることとする.
約500万年前,直立歩行動物は,ある特徴をもった.それはヒト科の一種である人
類にみられる特徴である.咀嚼メカニズムは,2000万年にわたる類人猿からの試練と
誤った洗練プロセスの結果である.道具を使用する以前,歯は,鉗子,粉砕器,武器,
濾過器,はさみとして利用され,また,言語能力の前触れともいうべきフェイシャル
アニメーションにおいて最も重要であった
とりわけ,食物を効果的に加工処理することが,生存のために必要であった1二著
しく発達した咀嚼力によって,比較的容易に食物を処理するができた.摩耗し咬頭の
なくなった歯と強力な顎によって,平原に住む猛獣の体から肉塊を引きちぎったり,
採取したあらゆる食物を丹念にかっ疲れすに噛むことができた.手入れをほとんど必
要としない比較的非病理的な咀嚼システムをもった立派な雑食動物であった.しかし
ながら,明らかな欠点もあった.原始的な食物は,砂混じりであったため,その結果,
隣接面や咬合面を広範囲にわたり摩耗させた.この見かけ上の欠陥の自然な補償シス
テムか:月日Sの根本原理を解く鍵となる.
偉大なる解剖学者のHⅢ・ySiche「は,この咬耗に関するジレンマについて考察し,次
のように語った
二つの疑問について答えられねばならない.
ーつは,歯の摩耗は,
自ずと決定づけられたプラスの作用であり,自然の摂理は機能を高めるために歯を犠
牲にするのかということ,もうーっは,歯の組織の継続的損失をできることなら打ち
消すように,あるいは少なくとも最小限にとどめるように,歯の摩耗が適合,修復,
再生的変化の結果として起きるかどうかということで

Siche「の一つめの疑問に対する答えは簡単である.咬頭がなくなった咬耗した歯列
はよりよい咬合装置をつくり上げた.咬頭が摩耗するにつれて,
上下顎の歯は効果的な挽き臼のようになった。
顎がどんな動きをしても咬頭の制限はなかった.
非効率的な咀嚼をもたらす現代の咬頭は,干渉を無視した容赦ない研磨作用よってす
図1.2咬合面および隣接面のエナメル質は、原始的なライフスタイル
による容赦ない咬耗によって摩耗している.
り減らされ,あらゆる側方運動に対して咬合面すべてが最大接触するようになった
Siche「の二つめの疑問(適合,修復,再生の代償作用について)に対する回答は,以下
のような咬合プロセスの特徴によって代償されたと思われる.
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Siche「の一つめの疑問に対する答えは簡単である.咬頭がなくなった咬耗した歯列
はよりよい咬合装置をつくり上げた.咬頭が摩耗するにつれて,上下顎の歯は効果的
な挽き臼のようになった。
顎がどんな動きをしても咬頭の制限はなかった.
非効率的な咀嚼をもたらす現代の咬頭は,干渉を無視した容赦ない研磨作用よってす
図1.2咬合面および隣接面のエナメル質は、原始的なライフスタイル
による容赦ない咬耗によって摩耗している.

り減らされ,あらゆる側方運動に対して咬合面すべてが最大接触するようになった
Siche「の二つめの疑問(適合,修復,再生の代償作用について)に対する回答は,以下
のような咬合プロセスの特徴によって代償されたと思われる.

矯正歯科診療のガイドライン 上顎前突編

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本矯正学会から発表されているガイドライン

「矯正歯科診療のガイドライン 上顎前突編 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

上顎前突の治療の必要性

不正咬合(咬合異常)による影響,障害を、社会心理学的見地、機能的見地からもエビデンスに基づいて明
確にすることは、矯正治療の意義、必要性を考える上で、非常に重要と考える。しかしながら、疼痛や肉体的
な違和感を伴うことが少ないため、患者はこれらの機能的な障害を自覚していないことが多い。また、不正咬
合のひとつである上顎前突にみられる特有の影響、障害だけに限局した高いエビデンスのある論文は
非常に少ないために、上顎前突を含む咬合異常としてその影響、障害を取り扱った。

上顎前突を含む咬合異常は好感度や聡明さなどの社会的領域、自尊心などの心理学的領域に影響を与える可
能性が高い。また、口腔機能への影響については、咀嚼機能に影響を与える可能性が高い。しかし、構音機能、
顎関節症、ブラキシズムと直接的に関連があるとの科学的根拠はない。
さらに、歯周病や齲蝕との関連性について、咬合異常はそれらの発生との直接的原因となる科学的根拠はないが、
二次的な要因として捉えることが できる。

不正咬合(咬合異常)による影響、障害に対して強い科学的根拠はないが、間接的原因として社会心理学、
口腔機能、歯周病や齲蝕の発生に影響を与えていると考えるのが妥当と考える。
しかしながら、重篤な開咬症例における発音障害、咀嚼障害や臼歯部崩壊による低位咬合症例における顎関節障害など
直接的な因果関係が明らかなことがある。
それらの障害を客観的な数値データとして表現し、そして、上顎前突、反対咬合という
単なる不正咬合のカテゴリーだけでその関係性を科学的に証明するのは難しいと考える。
その不正咬合の重篤度や成因、その障害の客観的な評価、患者の生活環境や性格など総合的見地から、
症例毎にその影響、障害を 考えるべきと考える。

さらに、上顎前突に直接関連する障害は限られるが、その中で上顎前突は歯の外傷の誘発が他の不正咬合に比べて高く、
3mm を超える大きなオーバージェットの不正咬合はそれ以下の患者に比べ約 2 倍の外傷リスク
があるとの高いエビデンスが存在する。
他の相互作用も存在するが、その大きなオーバージェットを矯正治療 によって正常範囲に減少させることは有益である。

矯正治療の意義、利益を考えたとき、不正咬合(咬合異常)による影響、障害を明確にして、矯正治療によ
って形態学的改善を獲得するだけでなく、機能的にも、社会心理学的にも改善することを明らかにすることは
矯正治療学の本質であると考える。

・上顎前突を含む咬合異常は社会心理学的に影響を与えるか?

上顎前突を含む咬合異常は社会心理学的に影響を与える可能性が高い。

・上顎前突を含む咬合異常は口腔機能に影響を与えるか?

咬合異常は咀嚼機能に影響を与える可能性は高い。
しかし、構音機能、顎関節症、ブラキシズムと直接的に 関連があるとの強い科学的根拠はない。
不正咬合は咀嚼機能、能率を低下。
正常咬合の咀嚼機能は不正咬合 のそれより優れている。Angle 分類と咀嚼機能では、
Angle III 級だけが明らかに咀嚼能率が減じている。
不正咬合は顎関節症の直接的要因ではない。そして、過大な水平被蓋、過蓋咬 合は影響を与える

・上顎前突を含む咬合異常は歯周病や齲蝕の発生と関連するか?

咬合異常は歯周病や齲蝕の直接的原因となる科学的根拠はない。

咬合性外傷は歯肉炎、歯周炎を惹起しない。咬合は歯周病の進行におけるリスクファクターである。
咬合性外傷が歯周組織破壊のリスクファクターであるというエビデンスはあるものの、
歯周組織破壊の引き金になるというエビデンスはない。
咬合性外傷が プラークに起因する歯肉炎や、歯周組織のアタッチメントロスを誘発することはない。
歯の過度可動性を引き起こしている咬合力は、進行性歯周炎においてアタッチメントロスを加速させ、
歯周疾患治療による治癒を妨げる.
叢生は齲蝕の感受性を上げるものではない

・上顎前突症患者は、歯の外傷の危険性が高いか?

上顎前突は歯の外傷の危険性が高い。
上顎前突の臨床的な決め方として高橋の分類によってオーバージェットが 7~8mm以上あるものと規定していたが、
それ以下であっても咬合や側貌の観察によって上顎前突感があり、
他の分類に入れにくいものも臨床的に上顎前突として取り扱われている。
いずれにしてもオーバージェットとの関連は大きく、
その大きなオーバージェットを正常範囲に減少させることは上顎前突を治療する共通 認識であるが、
その意義について考える必要がある。
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上顎前突に限らず不正咬合による障害は、齲蝕発生、歯周疾患の誘因、歯の外傷および歯根吸収の誘因、
咀嚼機能障害、筋機能障害、骨の発育障害および発音障害などがあげられるが、
疼痛や肉体的な違和感を伴うことが少ないため、患者はこれらの機能的な障害を自覚していないことが多い。
上顎前突は歯の外傷の誘発が、他の不正咬合に比べて最も高い。
大きいオ ーバージェットの不正咬合は、それ以下の患者に比べ約 2 倍の外傷リスクがある。
すなわち、オーバージェットの大きい上顎前突のままであるとそのリスクは 2 倍高い状態であり、
もちろん偶発的因子(環境や行動等)も外傷歯の原因として関連しており、それらの相互的作用によるかもしれないが、
治療におけるオーバージェットの減少は大きく有益であると考えられる。
一方、上顎前突と発音障害の関連、オーバージェットと口唇癖との関連などについては、これを直接的に
評価する高いエビデンスの論文は現時点では残念ながら見当たらないが、上顎前突を治療しないとどうなるか、
というクリニカル・クエスチョンに対しては重要な分野であるため、今後の研究成果が期待される部分である

歯周病の検査・診断・治療計画の指針

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本歯周病学会から発表されているガイドライン

「歯周病の検査・診断・治療計画の指針」 を勉強しています。

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・高齢者では口腔内細菌が関与する誤嚥性肺炎などの呼吸器疾患
(respiratory disease)のリスクが高まるか?

肺炎発症患者の大部分は高齢者であり,一般に加齢そのものは誤嚥性肺炎のリ
スクファクターであると考えられる。しかし,条件を口腔内細菌が関与する呼
吸器疾患へのリスクと限定するとその限りではない。口腔内細菌に起因する誤
嚥性肺炎と加齢との関係を調査した研究は非常に少なく,本項で確認された文
献は2編のみである。
そのうち,1編は加齢がリスクとなる結論を示しているが,口腔ケアの介入の
みで細菌学的評価は行われていない。もう1編は逆に否定的な結果となってい
る。そのため,上記 CQを判断するには,現時点ではエビデンスが不足してい
ると判断される。

加齢が誤嚥性肺炎のリスクとなるかを考察するため,年齢(agedまたはelderly)のキー
ワードを中心に文献検索を行った。一般的に加齢変化は誤嚥性肺炎のリスクになると考えら
れる。しかし上記のように,口腔内細菌が関与する誤嚥性肺炎という
条件に絞ると,本項のCQを満たす論文は少なかった。
文献1では,口腔ケア介入の有無を暴露要因として行った後向きコホート研究の結果か
ら,加齢が誤嚥性肺炎による死亡のリスクファクターになること,また口腔ケアは肺炎によ
る死亡リスクとしての年齢の影響を低下させることを報告している。著者らは,口腔ケア
(−)群では加齢が誤嚥性肺炎による死亡の有意なリスクファクターとなったのに対して,
口腔ケア(+)群では有意な結果が得られなかったため,口腔ケア介入は年齢を含むいくつ
かのリスクファクターに影響していると説明している。また,文献1では細菌学的評価は
行っていないものの,口腔ケアにより口腔内細菌数を減少させたことが誤嚥性肺炎のリスク
軽減につながったとも考えられる。
対照的に文献2では,年齢が誤嚥性肺炎のリスクファクターになるとはいえない,という
結果を示している。この結果は,「加齢変化は誤嚥性肺炎のリスクになる」という通説に反
する内容であると思われるが,文献1に比較すると,文献2では肺炎の発症率をエンドポイ
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ントにしているということ,被験者の年齢層が平均10歳程度高いため80〜90歳前後が対象
になっているなど,加齢による肺炎発症への影響が強く現れなかった可能性も考えられる。
いずれにせよ,加齢には生活機能低下や嚥下障害など口腔衛生と誤嚥にかかわる複雑な因
子が関与するため,他のリスクファクターとの交絡因子として影響が観察されることも十分
に推察できる。加齢や年齢に限らず,誤嚥性肺炎のリスク因子を網羅的に解析した研究はあ
まりみられないのが現状であるため,今後の更なるエビデンスの蓄積が望まれる

・口腔ケア(口腔衛生管理)によって呼吸器疾患のリスクが低下する
か?

口腔ケア(狭義のもので,口腔衛生管理に絞る;直接的な歯周病治療ではない)
は呼吸器疾患の発症を抑制する。しかし,確固たるエビデンスはない。

口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係に関する臨床研究では,口腔衛生管理状態を示す指標が曖昧
である。そのために,口腔ケアを実施したことに対して,嚥下や咳反射,さらには肺炎の発
症を関連づけていることになり,口腔ケアの結果として何が(誤嚥性)肺炎の発症に影響を
与えたかがわかりにくい。口腔の細菌量や細菌叢を変化させるだけではなく,咳反射を含む
生体の反応・機能へ影響を与えていることも考えられる。そのため,口腔ケアは,細菌学的
にも,生理学的にも影響を及ぼしていると考える必要がある。そこに歯周治療を組み込む
と,もっと長期間の観察が必要となると考える。
一方で,口腔ケアとVAPとの関連に関するメタアナリシスは数件あったが,コクランラ
イブラリーにあるものでは,ICUの成人患者のVAP発症を40%減少させるとしているが,
肺炎死やICU期間への影響は明確ではないと結論づけている。

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歯周病と全身の健康

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本歯周病学会から発表されている

「歯周病と全身の健康」 を勉強しています。

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・歯周病原細菌以外の口腔内細菌は動脈硬化のリスクを高めるか?

歯周病原細菌以外の細菌による動脈硬化に関する報告はあるが,その発症を高
めるリスクに関する直接的な報告はなく,十分なエビデンスは認められない。

歯周疾患と同様に動脈硬化性疾患は生活習慣病の一つとされ,喫煙など共通するリスク因
子が関係している 5)。動脈硬化性疾患のリスク因子として,①血清中炎症マーカー 6, 7),②血
清脂質 8),③血管内皮細胞機能や動脈弾性変化 9)などがあげられ,歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalis)の動脈硬化病変部位からの検出が報告されている 10-14)。これは心血管系疾
患と脳血管障害の原因として脂質異常症,高血圧,糖尿病などの生活習慣病関連リスク因子
で説明できない発症例に,歯周疾患が関与している可能性を示唆しているものと考えられ
る。しかしながら歯周病原細菌以外の口腔内細菌が動脈硬化性疾患に関与するという報告 15)
はあるものの,その発症リスクを高めるという報告はない。重度アテローム性動脈硬化症患
者20名と対照群10名の比較研究でFusobacterium, Streptococcus, Prevotella, Enterococcus,
Porphyromonas, Veillonellaの検出率に有意差は認められなかったという報告 16)から,現時
点では歯周病原細菌以外の口腔内細菌が動脈硬化性疾患の発症リスクを高めるという科学的
根拠は見つからない。
今後更なる歯周疾患と動脈硬化性疾患へのリスク因子に関する臨床研究が必要であること
が示された。

・歯周病と早産・低体重児出産
WHOでは,妊娠37週未満での出産を早産,新生児体重2,500g未満での出産を低体重児
出産と定義している。
正期産・正常体重児出産と比較して早産・低体重児出産での新生児の死亡率および有病率は高く,
また,その発現は家族への精神的および経済的な負担を生じ,
社会に対しても医療費の増加となる。
総出産に対する早産・低体重児出産の発現率は人種および地域によって異なり,
アフリカで15%前後,ヨーロッパで5〜6% 1)と報告されている。
日本でのそれらの割合は年々増加し,平成22年の統計結果では10%程度とされている 。
早産・低体重児出産のリスクファクターとして,喫煙,飲酒,薬物(麻薬),多胎妊娠,な
どがある。通常分娩でも出産直前には,胎盤などの産婦人科器官における女性ホルモンバラ
ンスの変化や炎症性サイトカインの上昇を伴うことが知られ,
上行性膣炎などの産婦人科器官での炎症が血中サイトカインレベルを上昇させ早産・
低体重児出産に至らしめるという分娩のメカニズムが提唱されている 。
そこで,歯周組織中および血中での炎症性サイトカイン濃度が上昇し,
治療によってその濃度が低下することが知られている歯周病への罹患と歯
周治療の実施が,早産・低体重児出産にどのように影響するかについて注目を集めている。

本テーマでは,妊婦における歯周病罹患・妊婦への歯周治療と早産・低体重児出産との関
連性について検索することを目的とし,以下の2つの臨床質問を設定した。

・歯周病は早産・低体重児出産を増加させるか?

歯周病に罹患した妊婦では,早産,低体重児出産,早産および低体重児出産へ
のリスクは増加する。

早産・低体重児出産以外の妊娠に伴う併発症として妊娠高血圧症候群(以前の妊娠中毒症)
がある。妊娠高血圧症候群と歯周病罹患との相関に関してシステマティックレビューが報告
されている。AAP/EFPのコンセンサスレポートでは5つの論文,4,224名のデータによ
るメタアナリシスからOR=1.61,95% CI:1.36〜1.92の結果が報告され(エビデンスレベ
ル2a) ,12本の論文によるシステマティックレビューでは8本に相関があったとしている

歯周病と早産・低体重児出産との相関発現のメカニズムについて,唾液中あるいはプラー
ク中の歯周病原細菌,血中抗体価,GCF中あるいは血中のサイトカイン濃度,SNPs,など
様々なバイオマーカーによる検討が行われている。GCF中のIL-1β,PGE2,TNF-αと早
産・低体重児出産との有意な相関がシステマティックレビュー 13)(エビデンスレベル2a)に
報告されているが,メカニズムを明確に説明できるとは結論づけられていない。

・歯周治療を早産・低体重児出産の予防を目的として行うべきか?

妊娠中期に行われる妊婦への歯周治療は安全であり,妊婦の歯周組織の健康回
復のために有用である。
しかしながら,妊娠中期の歯周治療は早産および低体
重児出産を抑制しないという明確なエビデンスの存在から,
妊婦に対して早産・低体重児出産の予防を目的とした歯周治療は行わないように勧められる。

歯周病と誤嚥性肺炎

肺炎が2011年から日本人の死因の第3位となった。2014年には約118,000人となり,死因
の約10%弱を占めるようになっている 。
この肺炎死亡者の実に約95%は75歳以上の高齢
者であり,90歳以上の高齢者の死因の第2位に相当する 。
高齢者の肺炎,特に医療・介護関連肺炎の主原因は,誤嚥性肺炎と考えられている 。
誤嚥性肺炎に関連する発熱を防止するために口腔内の細菌量を減少させることが効果的で
あると日本から発信され ,口腔ケアの有用性が多くの臨床研究で示されてきた。
しかし,口腔ケアの定義に曖昧な場合が多く,歯科治療を含む包括的口腔衛生管理か,
歯科医療従事者による専門的口腔衛生管理か,通常の医療従事者による口腔衛生管理か,
さらには介護従事者あるいは家族等による口腔衛生管理などか曖昧である。
誤嚥性肺炎の発症や悪化と歯周病との関連性を明確に示したものはなく,
歯周病治療の影響に関しては明瞭ではない。
80歳で20歯以上の現在歯数を有する者(8020達成者)が40%に達する時代になり,歯周病罹患
率が高いことを考慮すると,今後には介入研究が強く望まれる。

動物を用いた研究は,少ないが存在する。
それらは,歯周病原細菌の生死にかかわらず,呼吸器系に炎症を起こすことを示している。
したがって,口腔内細菌の量を減少させる歯周
病治療と口腔衛生管理が,高齢者の肺炎の防止に役立つことは想像しやすい。
現状では,高齢者あるいは手術後の人工呼吸器装着患者を対象とした臨床研究が多いなか
で,以下の臨床質問を設定した。

・口腔内細菌は誤嚥性肺炎に関与するか?

慢性肺疾患患者ではデンタルプラークから検出される肺炎原因菌の陽性率が高
いことが報告されている。しかし,現在得られるエビデンスは少数の横断・縦
断研究のみであり,また被験者も誤嚥性肺炎に限定されていないため,口腔内
細菌が誤嚥性肺炎に関与すると明確に結論づけるにはエビデンスが不足してい
る。さらに,歯周病原細菌との関連については,特にPorphyromonas gingivalisで
疫学研究と動物モデル研究において数件報告がみられるが,
こちらも同様にエビデンスが不足している。

・歯周病で誤嚥性肺炎のリスクが高まるか?

観察研究が1件のみであり,高齢者では誤嚥性肺炎のリスクの有無にかかわら
ず歯周病罹患度が高いので,歯周病が誤嚥性肺炎のリスク因子としては結論づ
けられない。ただし,誤嚥性肺炎のリスクの高い高齢者は,歯周病に罹患して
いるのにブラッシング主体の「口腔ケア」で対応しているのが現状である。

歯周病で誤嚥性肺炎のリスクが高まると考えることは論理的であるが,歯周病と誤嚥性肺
炎での検索である#4では20件がヒットした。しかし,Clinical Trailで絞り込むと,実質的
な臨床研究は#8の1件になった。この文献では,観察的横断研究にて,誤嚥の危険性が高
い者に口腔衛生状態が悪いことから,口腔衛生状態の悪さが誤嚥性肺炎の危険性を上げてい
ると推測している。ただし,歯周病の罹患度は誤嚥の危険性の有無にはかかわらず高く,歯
周病の重症度が重くなっている傾向を示したにとどまる。

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