咬合器の調節機構

このように咬合器の調節機構は咬合面形態に影響を与えるた
め,調節性の高い哽合器の用が望まれてきた.パランスド
オクルージョンにおいては測方滑走運動時にすべての歯牙の接
触が安求され,またグループ・ファンクションド・オクルー
ジョンにおいても作業測歯牙の均等な接触が求められるた
めを限界連動路の厳密な再現が必要である。

1950年代ナソロジー学派の先駆者たちは,作業測の歯ならびに平衡測(非作
業測)の歯牙の均等な接触を要とするパランスド・オクルー
ジョンを達成するために,そして口内で干渉を起こさない補綴物を作製するために.できるかぎり下運動を正確に再現する吸合器の作製を試みた。


☆なせ全調節性咬合器を必要としたか☆


フルマウス・リコンストラクションにおいて
バランスド・オクルージョンを達成するため


その後.有歯顎においてはミュチュアリー・プロテクティッ
ド・オクルージョンが推薦されるようになったが.パント
グラフの開発とともに全調前性咬合器の開発はつづき
全盛を迎えた。
パントグラフを用いた全調節性咬合器の調節も幅があり
また.全調性咬合器を使用しても限界内運動の詳第は術者の
推測に任される.
ミュチュアリー・プロテクティッド・オクルージョンにおい
ては測方運動時に臼歯部の接触はなく.適切なディスケルー
ジョンを与えることによって咬頭嵌合位付近の咬合干渉を避け,
また臼歯に対する方圧を避けるようにすることが求められて
いる。

そのため.限界運動と関係するのは切歯.大歯の誘導面
ないし角度のみであるが.これはインサイザル・テープルで規
制され.顧路により規制されるものではない。

そうなると咬合器の後方調節機構はさはど厳密なものを必要としない。

矢状路角でいえば感者の路角より緩い角度に調節した咬合器上で
ディスクルージョンを与えておけは.患者のロ腔内では確実に
ディスクルージョンを起こすことになる.
咬合器の調節機構で重要といわれる路角は.イミディエイト・サイドンフトとプログレッシプ・サイドシフトにわけられる。

咬合器の使用

咬合器の使用
咬合器は生体の下顎の動きの一部しか再現できないものでは
あるが,袖綴物を作製するためには咬合器のような器槭が必要
である.

咬合器を正しく使用するに際して.上歯列の上顎骨
に対する位置をできるかぎり生体に近い状態で合器に移すた
めに.フェイスボウ・トランスファ一が必要である.

そして咬合器に取り付けられた上顎歯列に対し.正確な基本的位置関係
の記録によって.下顎物列を位置づけなければならない。

そして.アンテリアガイダンスが臼歯部の咬合面形態を左右する
ため,患者固有のアンテリア・ガイダンスをインサイサル・
テープルに再現する必要がある。

インサイザル・テープルの作製に際しては.前歯を補綴する必要がない場合には.現状のアンテリア・ガイダンスを咬合器に移すが.前歯部を補綴しな
ければならない場合は,プロピジョナル・レストレーションを
利用して得られたガイドを咬合器に移さなければならない。
この際.即時重合レジンでインサイサル・テープルを作製する。
また,チェックパイト法を利川して路角を設定しなけれはならない場合もある.

下顎運動

下顎運動には大きく分けて,咀新,嚥下.発音などの機徒運動と.クレンチング.ク・ラインディングなどいわゆるプラキシズムとよばれる非機能運動がある。

下顎の運動を前頭面でみると.機能運動時.とくに嚼時には,咬頭合位付近への咬
込み.および頭合位からごくわすかな測方運動を催う開口動がみられる。

そのため,早助接融か起こる可能性は咬類嵌合位付近の歯牙接履であろうと考えることができる。
一方.非機能運動時には.頭職合位付近からの個方滑走運動.
ならびに下顎編心位でのグラインディングが起こる可能性があり.早期接独の可能性の範囲は頬舌嵌合位付近まで広がる

臼歯部の補綴物作製に際しては.これらの干渉ないし接触がおこらないように
適切なディスクルージョンを与える必要があるが、咬合面形態を考えるうえでは咀嚼の効率を高めること、側方圧を避ける形態を考慮しなければならない。

同時に犬歯あるいは切歯、犬歯の骨植条件が悪くなった場合にも耐用できるような咬合面形態の付与が必要である。

一方 前歯部の補綴物作成に関しては審美性、発音との兼ね合いを

考慮した前歯切端の位置決め、そして患者が許容できる切歯、犬歯のガイドを与え 臼歯部のディスクルージョンを付与できる舌面形態にする必要がある。

下顎運動と咬合面形態

下顎運動と咬合面形態


全加にわたる補綴を行う症の場合.プロビジョナル・レストレーションによって咬頭合位をとる下位が決まり.前爾誘導が確立され.具体的に攻頭合位における聢合接融が与えられれは.日歯の咬合面の彬態は日すとでき上がってくる.

そして騰方位での大歯によるディスクルージョンも適度に与えられれば.その哽合面形態はとくに間題なく思者に受け人れられると思う.

また少数歯の補綴の場合でも.残存第で臼物籠の
ディスクルージ当ンが得られている症例においては.同様のことかいえると思う-

 

補物に与える咬合の原則
・安定した哽頭嵌合を与える
・前方.側方連動時.日歯部の適切なディスクルージョンを与える


しかし明嚼時の咬頭嵌合位付近での政合十渉を避け.かっ歯牙に対する物方圧を少なくすると同時に,賺嚼効率を高めるような合面形態を付与するためには.下顎運動の原ならびに下顎運動と咬合面形態の関係を解しておくと有利であり.
咬合調整の際にもより効阜的な調整が可能となる,

また.残存歯による日歯部のアイスクルージョンが得られない症厖で.切
歯.大物を修復しない症例の場合には.グループ・ファンクションに近い咬合様式を付与せねばならないので.とくに下顎運動と合面形態の関係を理解しておかなければならない

下顎智歯周囲骨を用いたBoneGraft

前歯部審美領域におけるインプラント治療の成
功のためには,綿密な術前診査が必須である.

果を得るには非常に困難な症例であると診断された
パノラマエックス線所見により,欠損部にインプラントを埋入するためには,
水平的にも垂直的にも顎堤は狭小化しており,staged
approachによる治療計画が妥当であると考えられた.
しかし,思者は骨代替材料を用いない自家骨移植の
みのboneraftを望んだ。

 

下顎智歯周囲骨を用いたBoneGraft


ロ腔領域で自家骨を採取する際に示す部
位がドナーとして用いられるが,上顎の供給側に関
して,骨の採取量には制限があることに加え,術
後の移植骨の吸収も大きい.一方,下顎においては
術後の侵襲は大きく,とくにオトガイ部は骨の採取
に神経麻痺などの合併症も危惧される.したがって,
本症例では患者が望んでいた下顎理伏智歯の抜歯を
行い,これと同時に智歯に隣接している下顎枝前方
の骨片を採取し,上顎の欠損部に移植した
8か月の治癒期間の後,インプラントを理人した。