顎関節症治療の指針2018

アクアデンタルクリニック院長の高田です。

今日は 日本顎関節学会から発表されているガイドライン
「顎関節症治療の指針2018」 を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

1、顎関節痛障害とは?

顎運動時,機能運動時,あるいは非機能運動時に惹起される顎関節の疼痛に関連する障害である。

☆疼痛に関連する顎関節症の診断基準☆
病 歴:過去 30 日間に下記の両方を認める症状があるかチェックする.
1.顎,側頭部,耳の中あるいは耳前部の疼痛
2.顎運動,機能運動あるいは非機能運動によるその疼痛

診察時に次の両方を確認する.
1.疼痛部位が側頭筋あるいは咬筋でないか確認する
2.下記の誘発テストの少なくとも 1 つで側頭筋あるいは咬筋に
いつもの痛みが生じるかチェックする.
a.側頭筋あるいは咬筋の触診
b.自力あるいは強制最大開口運動(左側側方,右側側方あるいは前方運動)

2、顎関節円板障害とは?
顎関節円板障害には,円板転位だけではなく,円板変形,円板重畳,
円板穿孔など様々なものがあり,それらが重複していることも珍しくない.

また,関節円板の転位の程度や方向もさまざまである.

しかしながら,これらの顎関節円板障害の中では
前方転位が生じる頻度が圧倒的に高いことから,
前方転位の診断基準だけを定義する.

☆顎関節円板障害の診察☆
下記のうち少なくとも 1 つを確認するかチェックする
3 回の連続した開閉口運動時のうち少なくとも 1 回,触診により開口時および閉口時
のクリックを触知する.
3 回の連続した開閉口運動時のうち少なくとも 1 回,触診により開口時または閉口時
のクリック音を触知し,かつ 3 回の連続した左側側方,右側側方,または前方運動
時のうち少なくとも 1 回,触診によりクリックを触知する

該当するものがあれば、診察の後に MRI 検査を利用できる場合は直ちに検査を行う.

3、非復位性顎関節円板障害とは?
下顎頭-関節円板複合体を含むバイオメカニカルな顎関節内障害.

多くは閉口位において関節円板は下顎頭の前方に位置し,開口に伴って復位する.
関節円板の内方あるいは外方転位を伴う場合がある.

関節円板の復位に伴ってクリックが生じることが多い.

☆非復位性顎関節円板障害の診断基準☆
病 歴:次の 1 と 2 の両方を認めるかチェックする.
1.顎が引っかかって口が十分に開かなくなったことがある.
2.開口が制限されて食事に支障をきたしたことがある.

非復位性顎関節円板障害の診察
1.垂直被蓋を含んで強制最大開口距離が 40 ㎜未満である.
1:強制最大開口距離は臨床的に決定する.
2:関節雑音(開口時クリックなど)の存在は本診断を除外することにはならない.
3:強制最大開口距離が 40 ㎜以上であっても非復位性顎関節円板障害を否定できな
いため,開口制限がある場合と同様に診察・検査を進める.

岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く

咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)の基本治療

・咀嚼筋マッサージ
マッサージは手指にて,さする,揉む,押すなどの方法で,身体に機械的刺激
を与え,局所の血流量の増加や組織の可動化,痛みの緩和をはかるものである。

朝晩 5~10 分と指導するが,特に筋は温めたほうが良いので
風呂に入ってゆっくりマッサージするよう指導する。

最初は歯科医師が患者の手をとって,患者自身の指での部位を確認し,
円を描くようにゆっくり,ただしそれなりの力(痛みが少し出る程度)で
行うように指導する。その後,患者自身でマッサージし,
両側が同じレベルになるまで(できれば痛くなくなるまで)マッサージを続ける。

直接的な筋への刺激効果もあるが,下顎を弛緩させて行うので,歯列接触癖や
クレンチング習癖のある患者にとっては「普段何もしていないときは,歯が接触
せず,筋も緊張していない」ことを経験,学習させるという二次的な効果もある。

・温罨法
ホットパックなどを用いて,組織の温度を上昇させることにより,血管の拡張,
血行の増大,筋の伸展性の増加,痛みの緩和,筋緊張の緩和などの効果があると
される。

「リラインとリベースのガイドライン」

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本補綴学会から発表されているガイドライン

「リラインとリベースのガイドライン」 を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

☆リラインとリベースの違い☆
下顎位と咬合関係は正しいが,義歯床粘膜面の適合が不良となった場合に
義歯床を新しい義歯床用材料に置き換え,義歯床下粘膜との適合を図り,

義歯床粘膜面の一層を置き換えることをリライン,
人工歯部以外の義歯床を置き換えることをリベースという.

リライン(reline,relining)は床裏装法,
リベー ス(rebase,rebasing)は改床法あるいは床交換法とも呼ばれ,
広義では,両者を併せてリベースということもある.

リラインには,口腔内で直接圧接や筋圧形成(筋形成,辺縁形成)を
行いながら処置をする直接法と,

ダイナミック印象(動的印象)などを行ったのちに
義歯を預かって技工室で行う間接法がある.

なお, リベースは直接法では行うことができず,間接法で行われる。

直接法は,モノマーや重合反応熱により顎堤粘膜を刺激する場合があるが,
義歯を預かる必要がなく,診療の場で行えるため広く用いられている.

リライン材,特に厚みを確保したい軟質リライン材の場合,直接法では,
リライン前に義歯床粘膜面をリライン材の厚み分だけ削除する必要がある.

また,一定の厚みを確保できなかったり,厚みの確保のため,
咬合高径が変化することがある.

これに 対し,間接法では,直接法に比べ適切な厚みを得ることができること,
唾液との接触がないため接着力 が向上することなどの利点がある.

また,リライニングジグを用いることによって 操作を数時間で行うことができるため,
義歯を預かる時間を少なくできる。

☆材料による種類と特徴☆
リラインおよびリベースに使用する材料には,硬質と軟質の2種類がある.
硬質材料はアクリル系であり,

軟質材料はアクリル系,シリコーン系,ポリオレフィン系などである.

同系の材料でも組成や物 理的・機械的性質が異なるため,
これらの材料の特徴と特性を熟知し,症例に応じて選択することが重要である.

硬質材料と軟質材料の選択基準は?
一般には硬質材料を用い,緩圧が必要な場合に軟質材料を用いる。

☆義歯床と顎堤粘膜との適合検査☆
義歯床と顎堤粘膜との適合状態を適合試験材によって検査する.

また,義歯の維持・安定と吸着状態 を口腔内で検査する.

義歯床粘膜面は適合しているが,咬合すると脱離する,

あるいは顎堤粘膜に疼痛が生じる場合は,下顎位と咬合関係を検査し,
咬合調整,義歯床粘膜面の調整により改善がみられるか否かを検査する

☆下顎位を含む咬合関係の検査☆

下顎位や咬合高径など,咬合関係が適切であるか否かを検査する.

下顎位と咬合にわずかな問題がある場合,咬合調整,あるいは咬合面再形成により,
これらが改善できるか否かを検査する.

改善できる場合のみがリライン(リベース)の適応となる
リラインとリベースのいずれの場合も,操作に先立って義歯床粘膜面を一層削除する.

フラビーガム や口蓋隆起などの骨隆起がある場合には,
必要に応じて同部の義歯床粘リラインとリベースのいずれの場合も,操作に先立って義歯床粘膜面を一層削除する.

フラビーガム や口蓋隆起などの骨隆起がある場合には,必要に応じて同部の義歯床粘膜面の削除量を多くしたり,
遁路を設けたりする.
ただし,削除量が多く,レジン床の部分が薄くなると一般に強度は低下するため注 意が必要である .

膜面の削除量を多くしたり,遁路を設けたりする.
ただし,削除量が多く,レジン床の部分が薄くなると一般に強度は低下するため注意が必要である。

☆常温重合型レジンによる操作☆

①リライン材を混和し,流動性が低下してクリーム状になった時点で
義歯床粘膜面全体に均等に盛り,
適当な粘稠度(表面の光沢がなくなった)になった時点で
口腔内に挿入する.

②咬頭嵌合位で軽く咬合させ,次いで筋圧形成(筋形成・辺縁形成)を行う.

③レジンが餅状よりやや硬めになった時点で,
義歯を口腔外に取り出して余剰なレジンを除去する.

再度,口腔内に装着して,レジンの硬化を待つ.硬化促進剤を用いて,
口腔外で完全硬化させる場合もある.

④十分に硬化させた後,義歯を口腔外に取り出す.
⑤形態修正,リリーフすべき部位の調整,咬合調整を行い,研磨する.

☆光重合型レジンによる操作☆

①義歯床粘膜面に光重合レジンを盛り上げ,口腔内に挿入する.

②咬頭嵌合位で軽く咬合させ,次いで筋圧形成(筋形成・辺縁形成)を行う.
③余剰のレジンを除去後,再度口腔内で同じ操作を行う.

この操作は,温湯に浸して粘度を低く しながら繰り返し行う.

④冷水を口に含ませて,レジンの粘度を高くし,変形させないように注意深く取り出す.
⑤光重合レジン面全体に空気遮断材を塗布し,光照射器により重合を行う.

⑥空気遮断材を流水で洗い流す.

⑦形態修正,リリーフすべき部位の調整,咬合調整を行い,研磨する.

部分床義歯の場合には,レストをレストシートに適合させ,
義歯が口腔内の所定の位置に収まるように手指圧で保持し,筋圧形成を行う.

また,常温重合型レジンを使用する場合には,歯間部や顎堤の アンダーカット部にレジンが侵入,硬化し,
義歯が外れなくなることがあるので,餅状期に口腔外に撤去して余剰レジンを取り除いた後,
硬化するまで幾度か口腔外に撤去する必要がある.

日本補綴歯科学会から出ているガイドライン

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本補綴学会から発表されているガイドライン

『一般的な開業歯科医における顎関節症初期治療としてのスタ
ビライゼーションスプリント』のデザインならびに作製方法に
関するテクニカルアプレイザル

を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

質問
スタビライゼージョンスプリントの厚さは?

解説
スタビライゼージョンスプリントは,臼歯部中心窩から対合歯機能咬頭との咬合接触部に
おいて概ね 1.5~2mm の厚さとすることが望ましい 。

スタビライゼーションスプリントの厚さは,咬合挙上量が安静空隙量を大きく超えない範
囲で,かつスプリントの強度を確保できる程度である点が重要であると考えられた。

質問
スタビライゼージョンスプリント咬合調整時の患者の姿勢は?

解説
スタビライゼージョンスプリント咬合調整時の患者の姿勢は座位もしくは水平位が一般的
である。

スタビライゼージョンスプリントの咬合調整を水平位のみで行うと
下顎を後方に誘導してしまう可能性があるため,

特に一般開業医では臨床症状を悪化させてしまう危険があると考えられた.
また,策定委員会委員が所属する 13 施設のほとんどにおいて
座位で調整を行っていた。

質問
スタビライゼージョンスプリントの材質は?

解説
スタビライゼージョンスプリントの材質には加熱重合レジン,
流し込みレジン,光重合型レジン,熱可塑性プレートを
用いた吸引成型法によるもの等が用いられている.

加熱重合レジン,流し込みレジン,光重合型レジンについては,
咬合時の変形も尐なく,適切な咬合調整を行うことができる.

一方,熱可塑性プレートを用いた吸引成型法によるものでは正確な
咬合調整が困難であり,経時的な変形も生じやすい。

「以前は加熱重合レジンのみ使用していたが,
鼓形空隙の処理とその後の歯列への適合までに要する調整時間を考え,
ここ数年は加熱重合レジンを使用しない傾向にある.

また,一般開業医の初期治療では製作方法や調整時間に労力を要するものは
向かないのではないかと思う

質問
スタビライゼージョンスプリントの管理法は?

解説
スタビライゼージョンスプリントの材質には加熱重合レジン,流し込みレジン,光重合型
レジンおよび熱可塑性プレート等が用いられており,可撤性義歯に準じた取り扱いをするの
が一般的と考えられる.そのため,「非装着時には水中保管とする」および「清掃は,流水下
でブラッシングする」

岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く

日本補綴歯科学会から出ているガイドライン

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本補綴歯科学会から発表されているガイドライン

『一般的な開業歯科医における顎関節症初期治療としてのスタ
ビライゼーションスプリント』のデザインならびに作製方法に
関するテクニカルアプレイザル
を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

興味深い質問内容をまとめてブログに残そうと思います。

質問
スタビライゼーションスプリントとしては,上顎型および下顎型のどちらを用いればいいの?

解説
スタビライゼーションスプリントの装着様式としては,
上顎歯列に装着する上顎型と下顎歯列に装着する下顎型の2つのタイプがある.

しかし,その使い分けの指標については
これまでに統一した見解が得られていない.

したがって,スタビライゼーションスプリントを顎
関節症の初期治療に用いる際に,どちらのタイプを用いるべきか,
それとも両方のタイプを用いて良いのかについて検証が求められる.

顎関節症の初期治療に用いるスタビライゼーションスプリントとしては,
策定委員会委員が所属する 13 施設中 10 施設が主に上顎型,
2施設が主に下顎型,1施設が両者を使っていた.

文献にみられるエビデンスの多くは上顎型を用いたものが多い。

なので 上顎型を使う方が正しいのではないだろうか。

質問
スタビライゼージョンスプリント作製時の咬合採得の方法(記録する下顎位および咬
合挙上の方法)は?

解説
スタビライゼーションスプリントの咬合採得は,習慣性咬合位において行い,

咬合器装着後に咬合器上で指導釘を用いて必要量の咬合挙上を行ってよい

その際には,フェイスボウトランスファーを行った咬合器上で行うことが望ましい

スプリントの咬合採得には,下顎位を誘導して中心位等を用いるべきである

質問
スタビライゼーションスプリントの咬合面と対合歯と接触関係は?

解説
閉口時におけるスタビライゼーションスプリントの咬合面と対合歯との咬合接触について
は,尐なくとも両側の小臼歯ならびに大臼歯が均等に接触していることが望ましい。

前歯部の咬合接触に関しては,
臼歯部と同様に同時かつ均等な咬合接触の付与,軽い咬合接触の付与,
および咬合接触を付与しないなど,明確な指標はない.

そのため,前歯部の咬合接触に関していくつかの設問を作成し,
Delphi 法変法による合意形成を試みたが,下顎型スプリントについては合意が得られず,

「上顎型スプリントには,下顎前歯が軽く接触していることが望ましい」という形成が得られた。

質問
スタビライゼーションスプリントの咬合接触面の形態は?

解説
スタビライゼーションスプリントの咬合接触面は,咬合平面に平行でありかつフラットな
平面であることが望ましいが,ゆるやかな彎曲の陥凹があっても良い .ただし,対合歯咬
合面の深い印記が残った状態は不適切である 。

スタビライゼーションスプリントの咬合接触面については,医原性の咬合干渉を起こさな
いために,対合歯咬合面の深い印記がないフラットな平面であることが望ましいが,わずか
な陥凹が残る状態であっても,日常臨床において良好な結果を得ている。

質問
スタビライゼーションスプリントに付与する側方ガイドは?

解説
スタビライゼーションスプリントの下顎側方滑走運動時の側方ガイドに関しては,犬歯誘
導あるいはグループファンクションを付与することが望ましい 。

下顎側方滑走運動時の側方ガイドに関しては,犬歯誘導,グループファンクション,
バランスドオクルージョンなどが考えられるが,それらの使い分けの指標や優位性等については
統一した見解が得られていない

インプラントの画像診断ガイドライン

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日はNPO 法人日本歯科放射線学会から発表されている

「インプラントの画像診断ガイドライン」を勉強しました。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

CT撮影時のステントの使用について
Q: インプラントの CT診断における望ましいステントはなにか?

要約:CT撮影時のステントは治療計画に有用であり、
使用は勧められる。
ただし、望ましい CT撮影用のステントについて明確な根拠に基づいたものはない。

A 最終的な上部構造の予測のために調整したステントの指示部分や歯の部分

1) MMAレジンのポリマーと硫酸バリウムを混ぜたモノマーを使用
2) MMAコートバリウムを 3~7%含有させたレジンを使用
3) 接着性レジンにあらかじめ造影剤を混入した製品を使用
4) レジン製ステントの内面にX 線不透過性が低いシリコーン製剤を使用

B. 人工歯根の植立位置と方向を示すための素材
1) ステンレス管を使用
2) ガッタパーチャを使用
3) X 線不透過性の疑似歯にホールをあけて使用
4) チューブスプルーを使用
5) シリコーン系バイト材を使用

インプラント周囲炎に対する画像診断について
Q: インプラント周囲炎の画像診断として推奨される方法はなにか?
1) 要約:インプラント周囲炎には、口内法 X 線による評価が推奨されている。
2) ただし、 その他の画像診断法に関して明確な根拠はない。

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