歯科 ブリッジの種類

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・支台装置に使用する金属の選択に際して,推奨される金合金は何か?

推奨:支台装置に使用する金属の選択に際して,保険適用外ではタイプ4金合金の選択を,保険適用の場合には金銀パラジウム合金の選択を弱く推奨する.

適合性,機械的強度と生体親和性を総合的に考慮すれば,保険適用外の材料であるタイプ4金合金が最も適している.
保険適用内であれば,金銀パラジウム合金が選択肢となるが,タイプ4金合金と比べ機械的強度が劣るため,テーナーを厚くすることが求められる.
選択にあたっては,治療コスト面などの患者の好みと価値観を考慮する.

・支台装置の設計に際して,推奨される金属の厚みはどれくらいか?

明確なエビデンスに基づいた数値は提唱できないが,アンケートで得られた強いコンセンサスは,0.2 mm 以上でエナメル質の範囲を超えない厚さである.
形成の対象となる舌側面のエナメル質の厚みは前歯で 500—660 µm,犬歯で 700—860 µm,第一小臼歯で 980—1050 µm,第一大臼歯で 1740—1930 µm であり,隣接面の厚.従って,歯質の削除量はエナメル質の範囲内で,若干のオーバーカントゥアになる程度まで可及的に厚みをもたせることが奨められる

・補綴装置内面および支台歯被着面に対して,推奨される接着前の表面処理は何か?

推奨:金属被着面処理としてサンドブラストと金属に適した接着性モノマーを含有したプライマー処理を行い,歯面処理としてリン酸エッチングを行うことを強く推奨する.

金属被着面処理として,直径 50 µm のアルミナ粒子によるサンドブラスト処理(処理後は強圧のエアーにより粒子を除去する.
水洗は行わない. )で微細凹凸構造を付与した後,金属接着性プライマーを塗布する.
ブラスト処理は汚れや唾液などの接着阻害因子の除去にも有効である.
また,シラン処理(シリカコーティングアルミナ粒子によるサンドブラスト処理など)も推奨される.
支台歯のエナメル質の被着面は 40%程度のリン酸エッチング液にて約 30 秒間エッチング処理を行い,被着面に微細凹凸構造を付与する.

・接着操作に際して,接着性レジンセメントの使用は推奨されるか?

接着ブリッジに関する臨床論文でグラスアイオノマーセメントを使用した例が全くなく,接着ブリッジは接着性レジンセメントの使用を前提としているといえる.
古くは接着性モノマーを含有していないコンポジットレジンを接着ブリッジに使用していた時代があり,それが接着ブリッジの生存率が劣る原因の一つであった.
現在では,グラスアイオノマーセメントとの比較研究はないものの,そのことがむしろグラスアイオノマーセメントの使用を許さないほど,基礎的研究データによる有益性が確立した,

接着性モノマーを有する接着性レジンセメントの使用のみが推奨されるという国際的なコンセンサスがある証拠といえる.

・ 脱離したブリッジに対して,再接着は推奨されるか?

推奨:脱離したブリッジに対して,再接着を行わないことを弱く推奨する

支台歯に二次カリエスがなく,脱離した接着ブリッジの適合やリテーナーなどに問題がない場合は,治療期間や治療コストの面から再装着も考慮される.
しかし,一見問題がないように見えても,支台歯の移動やフレームの変形による微妙なフレームの不適合が生じていることも多く,再接着後間もない脱離につながる.
従って,適合精度の正確な診断が再接着するかいなかの重要な基準

.短期間に脱離した場合には,適合以外の因子の診断が必要であることはいうまでもない.

その原因によって,再度適合精度の高い接着ブリッジを製作するのか,
部分被覆冠支台のブリッジへの設計変更を行うのか,熟慮が必要である.

治療期間,治療コストなどの患者の好みと価値観を考慮した上での判断が重
要である.

歯科 ブリッジの設計

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・支台歯形態に関して,D字型とL字型のどちらが推奨されるか?

臨床論文によるエビデンスは存在しないため,患者(P)の状況によって利点,欠点と
予測される予後を十分に考慮して選択するべきである.
事前に咬合面に修復物が装着されておらず,minimum intervention を重視する場合は,
L 字型の選択が理にかなっており,それ以外であれば,維持力の優れた D 字型が有利と考えられる.

L 字型選択の場合でも,臼歯部の咬合力に耐える剛性強度の確保が必要であり,
咬合面をわずかに覆う設計とする.
欠損側咬合面辺縁隆線部と非欠損側舌側近心あるいは遠心咬合面部に小さなレストを形成し,
リテーナー自体と連結部の剛性を高めるようにする.

装着後の適用にあたっては,歯質削除をどこまで許容す
るか,補綴装置の予知性をどの程度望むかといった患者の好みや価値観を十分に考慮す
るべきである.

・支台装置(リテーナー)の設計に際して,両側性のリテーナーと片側性のリテーナー
のどちらが推奨されるか?

海外ではオールセラミックを用いた片側性のリテーナーの適用を支持する論文が多く
なってきた.
今回,本邦のガイドラインでは保険診療を前提とした技術と材料に関する情報を収載することが妥当と考え,
オールセラミックブリッジのデータを除外して推奨度を決定した.
元来,セラミックに比べて金属の方が接着性レジンセメントへの接着力は勝っており,
側切歯または小臼歯1歯欠損症例における片側性と両側性のリテーナー設計
を比較した臨床データが蓄積されれば,近い将来推奨度が変更になる可能性がある.
しかし,現段階では片側性のリテーナーの適用には慎重になるべきである.
片側性のリテーナーの接着ブリッジを考慮したい場合の多くは一方の支台歯の候補となる歯を削合したく
ない場合であり,そのようなときの代替手段としては,咬合条件などを厳密に考慮した上
での片側性リテーナーを用いた部分被覆冠や全部被覆冠支台によるブリッジあるいは両
側性のリテーナーによる接着ブリッジや部分被覆冠支台のブリッジとなる.
また,保険適用外のインプラント治療も考慮されるべきである.
欠損部分の近遠心的幅が不足してインプラント埋入が困難な場合には接着ブリッジが有利であり,
またポンティックが審美的な歯冠形態となりにくい場合は全部被覆冠支台のブリッジによって審美な歯冠形態へ
の変更が可能となる.これらは患者の好みや価値観を十分に考慮すべきである.

・支台装置に使用する金属の選択に際して,貴金属合金と非貴金属合金のどちらが推奨
されるか?

貴金属合金,非貴金属合金ともにそれぞれ長所と短所があるものの,理論的に適合性を重視するなら貴金属合金が,フレームの機械的精度を要求するなら非貴金属合金が推奨される.
しかしながら,金属プライマーやサンドブラスト処理による接着システムが確立
した現在,高い適合精度を実現しやすい貴金属合金の方が適用範囲が広いといえる.

歯科用接着ブリッジの形成

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

まず,支台歯に歯根膜面積の顕著な減少がなく,動揺度が 1 度程度までであることを前提とする.
その上で,動揺の原因が一次性の咬合性外傷によるものなのか,歯根膜面積の
減少による二次性の咬合性外傷なのかを判断することが必須である.
支台歯に動揺がみられる場合は動揺がない場合に比較して,接着ブリッジが脱離する確率が高い.

特に,支台歯間に動揺度の差がある場合には適用できない.
しかしながら,ともに類似の動揺度であれば適用できる可能性があり,
その場合,より強固な維持形態を支台歯に付与したり,
ブリッジ自体の剛性をより高める工夫が必要となる.
咬合接触関係の是正が必要な場合は,部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジの適用が理にかなっており,
また支台歯の動揺自体が歯列全体として問題な場合は部分床義歯やインプラント治療を考慮することとなる.
いずれにしても,患者の好みや価値観を考慮しつつ,治療コストとそれに見合うだけの補綴装置や歯の予知性などの短期的・長期展望に立った上での選択が重要である.

・支台歯形成に際して,エナメル質に限局した形成は推奨されるか?

接着の観点からエナメル質に限局した形成は非常に有利であり,また咬合力に対する
抵抗形態や脱離力に対する維持形態の付与を必要最小限に行う観点からエナメル質内の形成を行うべきである.
実際の臨床では,既に修復がなされている場合も多く,その場合利用可能なエナメル質の量を考慮して,接着ブリッジを選択するのか,歯質の削除量を多くしてでも部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジを選択する方が有利なのか,
判断する必要がある.
一般に,患者は歯質保全を好む傾向にあり,患者の好みと価値観を十分に考慮することが重要である.

・支台歯形成に際して,グルーブの付与は推奨されるか?

グルーブの付与は支台装置の側方への脱離に対する抵抗を増大させる.
前歯部,臼歯部ともに,審美的な問題が起こらない範囲で欠損側隣接面唇・
頬側隅角部および隣在歯が残存している側の舌・口蓋側の隅角をわずかに超えたところまでを軸面形成し,その先端部分にグルーブを形成する.

ただし,下顎前歯部症例で,支台装置に直接咬合力が負荷されない条件に限っては,グルーブを付与しなくても(付与できなくても)咬合力による影響は少ないと考えられる.
反対に,咬合力の影響を受けやすい部位でのグルーブの付与は極めて重要であり,その場合グルーブ部分に一部象牙質が露出したとしても妥協できると
考えられる.

接着ブリッジのガイドライン

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・強い咬合力の予測される症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

推奨:強い咬合力の予測される症例に対して,接着ブリッジの適用を行わないこと を強く推奨する.
判断基準:ブラキシズムの有無,歯の咬耗および象牙質の露出の量

・支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

推奨:支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用を行わないことを強 く推奨する.
判断基準:動揺度 1 度程度までの支台歯の動揺,両支台歯の動揺度の相違の有無, 咬合性外傷の有無

・支台歯形成に際して,エナメル質に限局した形態は推奨されるか?

推奨:健全な支台歯に対判断基準:支台装置が負担する咬合力の強い
金属被着面処理としてサンドブラストと金属に適した接着性モノマーを含有 したプライマー処理を行い,歯面処理としてリン酸エッチングを行うことを強 く推奨する。

接着ブリッジでは部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジに比較して,咬合力による歪みや歯の動揺による歪みに対して支台歯から離脱しようとする剥離応力が強くなる.
たとえ1歯欠損であっても,欠損部が大きくなればブリッジの歪みも大きくなる.

従って,臼歯部での従来型のブリッジの保険適用範囲は中間2歯欠損までであるが,臼歯部2歯欠損に対しては十分な熟慮が必要である.
臼歯部よりも咬合力の小さい前歯部ブリッジの保険適用は最大中間4歯欠損までであるが,同様に2歯以上の欠損に際しては適用に十分な熟慮が必要である.
ブリッジの歪みが大きなリスクと懸念される場合は,
症例に応じて保険適用範囲内外の部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジや部分床義歯,または保険適用外のインプラントによる治療が代替治療のオプションとなる.
その際,歯質削除量の許容,補綴装置の予知性,治療コストなど患者の好みや価値観を考慮した選択が重要
である.

接着ブリッジは,部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジと比較して,ブラキシズムなどによる外力に対して脆弱であるため,強い咬合力が予測される症例には不向きである.

加えて,ブラキシズムの症例では象牙質の露出が多く,接着の観点からも不利といえる.

また,通常支台装置(リテーナー)と健全歯質の境界を非咬合接触部位に設定するが,外力に対する歪みの大きさや脆弱性から,接着ブリッジでは咬合接触部位を健全歯質に設定することが望ましく,顕著な咬耗が認められる症例では設計が困難となる.

そのような場合,代替治療のオプションは部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジ,あるいは保険適用外のインプラントによる歯冠修復治療となる.

その際,歯質削除量や治療コストと補綴装置の予知性には相反する関係にあることを患者によく理解してもらった上での治療選択が必要である.

う蝕治療ガイドライン

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から発表されている

「う蝕治療ガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

質問
咬合面う蝕の判断きは どの検査法が有効か?

う蝕の形成がある場合は触診・視診は有効である。
いわゆるhidden cariesのような う蝕の形成がない場合は
エックス線診査を併用することが必要である。

質問
隣接麺う蝕の診断には どの診査法がゆうこうか?

う蝕の形成がある場合には視診や触診は有効である。
う蝕の形成がない場合はエックス線検査あるいは透明診が有効である。

背景・目的

う蝕診断は病変の検出・病変の深さおよび病変の活動性を診断する過程であり
歯科医師にとって日常臨床での重要な部分である。
これまでわが国における う蝕にかかわる切削介入の決断のコンセンサスは以下のような
要件が複数認められた場合であると考えられる。

・肉眼的に明らかなう蝕を認める。
・食片圧入や冷水痛などの自覚症状がある。
・審美障害の訴えがある
・エックス線写真でエナメル質あるいは象牙質に達する病変を認める。

現在、う蝕検査には視診・触診、咬翼法エックス線、電気抵抗、レーザー蛍光法などが用いられている。
それらの検査の有効性に関しては咬合面う蝕では視診、触診、咬翼法エックス線、電気抵抗およびレーザー蛍光法、
隣接面う蝕では視診、触診、咬翼法エックス線、FOTIが評価対象になっている。

質問
切削の対象となるのは どの程度に進行した う蝕か?

以下の所見が認められる場合は修復処置の対象となる。
とくに複数認められる場合にはただちに修復処置を行うことが
望ましい。

・歯面を清掃乾燥した状態で肉眼あるいは拡大鏡で う蝕を認める。
・食片圧入や冷水痛などの自覚症状がある。
・審美障害の訴えがある。
・エックス線写真で象牙質層の1/3を超える病変を認める。
・う蝕リスクが高い