歯科 ブリッジの設計

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・支台歯形態に関して,D字型とL字型のどちらが推奨されるか?

臨床論文によるエビデンスは存在しないため,患者(P)の状況によって利点,欠点と
予測される予後を十分に考慮して選択するべきである.
事前に咬合面に修復物が装着されておらず,minimum intervention を重視する場合は,
L 字型の選択が理にかなっており,それ以外であれば,維持力の優れた D 字型が有利と考えられる.

L 字型選択の場合でも,臼歯部の咬合力に耐える剛性強度の確保が必要であり,
咬合面をわずかに覆う設計とする.
欠損側咬合面辺縁隆線部と非欠損側舌側近心あるいは遠心咬合面部に小さなレストを形成し,
リテーナー自体と連結部の剛性を高めるようにする.

装着後の適用にあたっては,歯質削除をどこまで許容す
るか,補綴装置の予知性をどの程度望むかといった患者の好みや価値観を十分に考慮す
るべきである.

・支台装置(リテーナー)の設計に際して,両側性のリテーナーと片側性のリテーナー
のどちらが推奨されるか?

海外ではオールセラミックを用いた片側性のリテーナーの適用を支持する論文が多く
なってきた.
今回,本邦のガイドラインでは保険診療を前提とした技術と材料に関する情報を収載することが妥当と考え,
オールセラミックブリッジのデータを除外して推奨度を決定した.
元来,セラミックに比べて金属の方が接着性レジンセメントへの接着力は勝っており,
側切歯または小臼歯1歯欠損症例における片側性と両側性のリテーナー設計
を比較した臨床データが蓄積されれば,近い将来推奨度が変更になる可能性がある.
しかし,現段階では片側性のリテーナーの適用には慎重になるべきである.
片側性のリテーナーの接着ブリッジを考慮したい場合の多くは一方の支台歯の候補となる歯を削合したく
ない場合であり,そのようなときの代替手段としては,咬合条件などを厳密に考慮した上
での片側性リテーナーを用いた部分被覆冠や全部被覆冠支台によるブリッジあるいは両
側性のリテーナーによる接着ブリッジや部分被覆冠支台のブリッジとなる.
また,保険適用外のインプラント治療も考慮されるべきである.
欠損部分の近遠心的幅が不足してインプラント埋入が困難な場合には接着ブリッジが有利であり,
またポンティックが審美的な歯冠形態となりにくい場合は全部被覆冠支台のブリッジによって審美な歯冠形態へ
の変更が可能となる.これらは患者の好みや価値観を十分に考慮すべきである.

・支台装置に使用する金属の選択に際して,貴金属合金と非貴金属合金のどちらが推奨
されるか?

貴金属合金,非貴金属合金ともにそれぞれ長所と短所があるものの,理論的に適合性を重視するなら貴金属合金が,フレームの機械的精度を要求するなら非貴金属合金が推奨される.
しかしながら,金属プライマーやサンドブラスト処理による接着システムが確立
した現在,高い適合精度を実現しやすい貴金属合金の方が適用範囲が広いといえる.