マイクロスコープの優位性

マイクロスコープの強拡大により,
よりよく見えるようになる
毛細血管のループを確認することができる.
また,データを収集することにより
マイクロスコープで拡大することでより詳しく見
ることができる。また,明るい光のなかでみ
れば確実にみることができる.術者であるわれわれ
は,診療中にいろいろな感覚を使用するが,とくに
視覚は大きな割合を占めるといわれる.

見えることが向上することで,治療時の大きな助
けになる.すなわち,見えることによって,より正
確な情報を得られる結果,診断ミスも減り,また原
因を突きとめることも可能となり,原因除去につな
がる.

大切なことは基本的なミスを少なくする要因となる.
自分の手技を振り返り,基本的なミスをしなく
なる.より多くの情報か得られることで自分の技術
のクオリティを上げられることはもちろん,同じ人
間が同じ治療を行った場合,肉眼で行うよりもマイ
クロスコープを用いたほうがよりクオリティの高い
治療結果につながっていく.
マイクロスコープが日本の歯科界のレベルを上げ
る要因になるのは明らかである.ペリオ,ェンド,
インプラント,補綴,修復などさまざまな分野にお
いて有用である.
たとえば補綴を例に挙げると,肉眼では適合が良
いように見える場合でも,マイクロスコープで拡大
して観察するとギャップが確認できることがある.

マイクロースコープの増加

マイクロスコープは15年間での販売台数が約3,000台だったのが,

その後のたった5年で約4.000台が版売されたと聞く.
その背景には,CBCTとマイクロスコープを用いた

MB2や樋状根の根管治療が保険適用になったこと

歯根端切除術が保険適用になったことが原因だと考えられる。
渡り鳥が群れをなして飛んでいくときに,

先頭を飛ぶ鳥に導かれていくことを意味してい
が挙げられる。

いずれにしても,多くの歯科医師が
2017年に行われた第1回日本顕微鏡歯科学会学
にマイクロスコープの有用性が認められた証拠で
学術大会のテーマをそれにしたのも,原因だと
えよう.現在では,開業時の設備の1つとしてマイクロスコープを導人する医院も増えており,今後ますますマイクロスコープが普及することで,日本の歯科のレベルが上がっていくことは間違いないとい
ものである.
日本における現在のマイクロスコープの歯科界の方向性を日本顕微鏡歯科学会が作ってていってほしいという思いからつけた



マイクロスコープの立ち位置と,今後の方向性について考えてみたい.
はじめに
マイクロスコープの特徴
マイクロスコープをめぐる状況
マイクロスコープにはさまざまな特徴があり,
般的には,「拡大」「照明Ⅱ記録」が3大特徴とされて
いる.

上顎前突症患者に対し、機能的装置は、有効か?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本矯正歯科学会から出ている
「 矯正歯科診療のガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

上顎前突症患者に対し、機能的装置は、有効か?

 

一般的には機能的装置が成長期の上顎前突に対して、骨格系の改善に臨床的効果を及ぼすという科学的根拠
はなく、むしろ否定的といえる。しかし、治療が功を奏する者とあまりうまくいかない者が存在することは否 定できない。今後は機能的装置の適応症を検討することも必要となるであろう。

 

上顎前突に対する機能的装置は骨格系の改善に有効か否か検討したシステマティックレビューまたはメタ アナリシス(エビデンスのレベル I)が 5 編認められた。論文選択基準に多少の相違はあるものの、いずれの 研究も同一条件下で治療を行わない II 級対照群が存在していることを論文選択の条件としている。厳密な方法 論を用いており最新の文献 1(エビデンスのレベル I)では、機能的装置による下顎骨長に対する増大促進効
果は統計的に有意なものであったことを示しつつ、変化が小さいため臨床的な有用性に疑問を呈している。ま た、文献 2(エビデンスのレベル I)では Fränkel 装置が下顎の成長に対して統計的に有意な効果を及ぼしたこ とを示しながら、様々な要因によりその効果が誇張されたものであることを指摘している。文献 3(エビデン スのレベル I)では上下顎関係の変化に効果があったと述べているが、その評価項目は SNA、SNB、ANB、オ ーバージェットであり、歯性の変化による影響も考えられる。文献 4(エビデンスのレベル I)では articulare から pogonion あるいは gnathion までの距離が有意に増加し、その他の計測項目では有意差を認める項目はな かったと述べているが、文献 1 では articulare を下顎骨長計測の基準として用いることに疑問を呈しており、 実質的に有意差を認める項目はない可能性がある。文献 5(エビデンスのレベル IVb)では機能的装置は平均
的には上顎の成長抑制や下顎骨の前方成長の促進はもたらさなかったこと、下顎の垂直的な成長はわずかに促
進されたこと、効果がある者とあまりうまくいかない者が存在し、治療に対する反応のヴァリエーションが広 いことを述べている。

 

上顎前突における乳歯列期・混合歯列期の治療

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本矯正歯科学会から出ている
「 矯正歯科診療のガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

上顎前突における乳歯列期・混合歯列期の治療

矯正歯科治療における乳歯列期での治療は、混合歯列期の治療やその予後にも影響を与えるため、慎重な判 断を要する。混合歯列期は Hellman の咬合発育段階では IIC から IIIB にあたり、顎の成長発育が旺盛な時期であるが、永久歯の萌出に伴い種々の不正咬合も発現する。混合歯列期の主な治療目的は、乳歯列期の治療目的 の1つであった上下顎関係の改善に加えて、歯列や顎の成長発育を阻害する因子を取り除くことである 1。こ れら乳歯列期、混合歯列期の治療を I 期治療と呼ぶ。 本ガイドラインは、他の多くの診療ガイドラインと同様、根拠に基づいた医療(evidence-based medicine: EBM)
の手順で作成される「エビデンスに基づく診療ガイドライン」とすることを目標とした。しかし、現時点です
べてのクリニカル・クエスチョンに対して高いエビデンスは存在せず、引用された論文のエビデンスレベルも様々であった。本来診療のガイドラインは日本人を対象とした論文から得られたエビデンスに基づき作成され
るべきであるが、日本人を対象にしたエビデンスの高い研究はない。日本矯正歯科学会は臨床研究をより一層 推進していく必要がある。
乳歯列期・混合歯列期における上顎前突の治療は画一的なものではない。したがって、エビデンスに基づく正しい治療方法の選択を行うためには、過去に行われた臨床研究について十分な知識と理解を有することが必 要不可欠である。患者にとって本当に有益な I 期治療とは、少なくともこれらの内容を十分に理解し、且つそ れを実行できる技量を有する矯正歯科医によって行われるものであると考えられる。

上顎前突症患者は、歯の外傷の危険性が高いか?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本矯正歯科学会から出ている
「 矯正歯科診療のガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

上顎前突症患者は、歯の外傷の危険性が高いか?

 

上顎前突は歯の外傷の危険性が高い。上顎前突の臨床的な決め方として高橋の分類によってオーバージェッ トが 7~8mm以上あるものと規定していたが、それ以下であっても咬合や側貌の観察によって上顎前突感があり、他の分類に入れにくいものも臨床的に上顎前突として取り扱われている。いずれにしてもオーバージェットとの関連は大きく、その大きなオーバージェットを正常範囲に減少させることは上顎前突を治療する共通 認識であるが、その意義について考える必要がある。

上顎前突に限らず不正咬合による障害は、齲蝕発生、歯周疾患の誘因、歯の外傷および歯根吸収の誘因、咀機能障害、筋機能障害、骨の発育障害および発音障害などがあげられるが、疼痛や肉体的な違和感を伴うこ とが少ないため、患者はこれらの機能的な障害を自覚していないことが多い。 上顎前突は歯の外傷の誘発が、他の不正咬合に比べて最も高い。大きいオ ーバージェットの不正咬合は、それ以下の患者に比べ約 2 倍の外傷リスクがある。すなわち、オーバージェットの大きい上顎前突のままであるとそのリスクは 2 倍高い状態であり、もち
ろん偶発的因子(環境や行動等)も外傷歯の原因として関連しており、それらの相互的作用によるかもしれな いが、治療におけるオーバージェットの減少は大きく有益であると考えられる。
一方、上顎前突と発音障害の関連、オーバージェットと口唇癖との関連、などについては、これを直接的に評価する高いエビデンスの論文は現時点では残念ながら見当たらないが、上顎前突を治療しないとどうなるか、
というクリニカル・クエスチョンに対しては重要な分野であるため、今後の研究成果が期待される部分である。