臼歯咬合面(1級窩洞)の修復法として、直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に違いはあるか?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。

 

臼歯咬合面(1級窩洞)の修復法として、直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に違いはあるか?

 

臼歯咬合面(1級窩洞)に対するコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に有意な差はない。しかし、コンポジットレジン修復はMIの理念に基づいて う蝕除去を行い、確実な接着操作を行うことによって健全歯質を可逆的に保存し、審美的な修復が可能である。よって臼歯咬合面に対して直接コンポジットレジン修復を行うことが推奨される。

我が国における臼歯部の修復では 金銀パラジウム合金による鋳造修復が保険適応されているため、諸外国と比べてメタルインレー修復が広く普及しているのが特徴である。一方、1980年代初頭に水銀による環境汚染が社会的な問題となり、これを発端に歯科用アマルガムの使用が著しく制限された。その対策の一つとして臼歯に化学重合型コンポジットレジンが緊急的に実用化された。その後光重合コンポジットレジンが登場し、諸物性や審美性に改良が加えられ現在に至っている。その間 接着も確実に進歩を遂げてきたが1990年代に入り、セルフエッチングを用いた接着システムと比べて象牙質接着の信頼性が著しく向上した。最近では接着システムの簡素化がさらに進みオールインワンシステムが登場している。このように国内における臼歯部修復をめぐる社会的背景や私学教育ならびに歯科医療保険制度は 諸外国とは大きく異なり、その違いは修復物の臨床成績にも影響を及ぼす可能性がある。今日、患者の審美的要求はますます向上しており、臼歯部と言えども より審美的で歯質保存的な修復方法が求められている。

臼歯部におけるコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績を直接比較した論文はきわめて少ない。またこれらの臨床の結果からは臼歯部に対する修復法としてコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績について、どちらか一方に明らかな優位性は認められない。久保先生らはコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績を比較検討している。調査は新良⑥による後ろ向きちょうさであり、2000年2~7月の半年間に調査したコンポジットレジン修復577症例と鋳造修復128症例が対象である。その結果、コンポジットレジン修復では窩洞形態によって生存率の違いがみられ、1級窩洞2級窩洞における10年後の生存率は83%であり、鋳造修復のそれは84,7%である。したがって臼歯部におけるコンポジットレジン修復と鋳造修復との存在率に優位差はなかった。

札幌市内の一般歯科言いにおいて行われた臼歯修復物について 修復物の生存期間と それに関連する要因について 診療⑥による後ろ向き調査を行った。1991年~2005年を観察期間として臼歯に修復処置を受け、