非侵襲性間接覆髄により、期間をあけて段階的に う蝕を除去することで露髄を回避できるか?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。

 

これらの臨床研究の結果は、象牙質への接着性が飛躍的に向上した現在の接着システムを用いたコンポジットレジン修復においては、術後の歯髄症状の発現が著名に少ないことを実証している。さらに、裏層なしでコンポジットレジン修復を行うことは治療ステップが簡略化され、治療歯冠のj簡素化治療時間の短縮や材料費の節約にもつながることにより、開業歯科医院でも容易に導入できると考えられる。

以上のことより、深在性う蝕に対するコンポジットレジン修復に裏層は必要ない

現在 わが国の大学教育ではMIの理念に基づいたコンポジットレジン修復に関し、裏層は必要でないという教育と積極的ではないにしても裏層をした方が良いという教育とが混在している。したがって 教育の現場で見解の統一が図られていないために、臨床の実際においても混乱をきたしているのが現状である。推奨グレードの決定にあたっては、わが国の裏層に関するこのような事情を考慮した。

 

非侵襲性間接覆髄により、期間をあけて段階的に う蝕を除去することで露髄を回避できるか?

歯髄に到達するような深在性う蝕で、歯髄が臨床的に健康または可逆性の歯髄炎の症状を呈する場合、非侵襲性間接覆髄を行うことによって露髄を少なくすることができる。

日常臨床では、臨床症状が認められないものの歯髄にまで達するような深在性のう蝕にしばしば遭遇する。従来は う蝕が原因で露髄した場合には抜髄が適応されてきたが、近年の歯髄に関する生物学的考察により、歯髄が高い再生力を備えており、歯髄の炎症はより可逆的であることが理解されるようになってきたことと、歯髄保護の重要性が認識されるにしたがって う蝕で露髄した歯髄も積極的に保存するように努められるようになってきた。

しかし、う蝕で露髄した歯髄に対する直接露髄はその成功率が50~80%との報告もあり、必ずしも常に良好な長期生成期が得られているわけではない。これに対して、露髄をきたすことなく深在性う蝕を修復できた場合には、ほとんどすべての症例で良好な予後が得られたとの報告があり、直接覆髄と比較して予後が角質なアポローチと言える。