リラインとリベースの違い

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科補綴学会から出ている
「 リラインとリベースのガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

リラインとリベースの違い

下顎位と咬合関係は正しいが,義歯床粘膜面の適合が不良となった場合に義歯床を新しい義歯床用材 料に置き換え,義歯床下粘膜との適合を図り,義歯床粘膜面の一層を置き換えることをリライン,

人工 歯部以外の義歯床を置き換えることをリベースという.リライン(reline,relining)は床裏装法,リベー ス(rebase,rebasing)は改床法あるいは床交換法とも呼ばれ,広義では,両者を併せてリベースとい うこともある.

 

リラインには,口腔内で直接圧接や筋圧形成(筋形成,辺縁形成)を行いながら処置をする直接法と, ダイナミック印象(動的印象)などを行ったのちに義歯を預かって技工室で行う間接法とがある.なお, リベースは直接法では行うことができず,間接法で行われる.

 

 直接法と間接法の選択基準は?

義歯を預かることができない場合,顎堤粘膜を刺激しない場合,一定の厚みを確保でき咬合高径が 変化しない場合などには,直接法が推奨され,義歯を預かることができる場合には,間接法が推奨 される.
直接法は,モノマーや重合反応熱により顎堤粘膜を刺激する場合があるが,義歯を預かる必要が なく,診療の場で行えるため,広く用いられている.リライン材,特に厚みを確保したい 軟質リラ イン材の場合,直接法では,リライン前に義歯床粘膜面をリライン材の厚み分だけ削除する必要がある. また,一定の厚みを確保できなかったり,厚みの確保のため,咬合高径が変化することがある.これに 対し,間接法では,直接法に比べ適切な厚みを得ることができること,唾液との接触がないため接着力 が向上する ことなどの利点がある.また,リライニングジグを用いることによって 操作を数時間で行うことができるため,義歯を預かる時間を少なくできる.

骨移植後の経過観察の時期や方法はどうあるべきか?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科放射線学会から出ている
「 インプラントの画像診断ガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

骨移植後の画像診断について

骨移植後の経過観察の時期や方法はどうあるべきか?

骨移植後の経時的変化についての報告があり、画像で経過観察を行う意義はあ
ると考えられる。ただし、症状と画像所見との関連が明確ではない。また適切な画像診断 の時期と方法に関して明確な根拠はない。 

上顎洞底挙上術とインプラント即時埋入術後 1年の時点で、全体の約 4 分 1の症例にお いて、上顎洞底がインプラントの先端と同レベルか、下であった。

 

骨質・骨密度は CT検査でわかるのか?

またそれらは予後と関連あるのか?

骨質と骨密度(Lekholmと Zarb の 分類を含む)以外は計測や位置関係についてであったため簡単に計測・把握できると考え
られた。骨質と骨密度には多くの意見があり、またインプラントの予後(成功/失敗)と 関連があるのか否かについてコンセンサスが得られていなかったので、これを調査した。

 

CT撮影時のステントの使用について

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科放射線学会から出ている
「 インプラントの画像診断ガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

CT撮影時のステントの使用について

 

CT撮影時のステントは治療計画に有用であり、使用は勧められる。ただし、望 ましい CT撮影用のステントについて明確な根拠に基づいたものはない。

報告者の臨床経験から有用とされる個人的意見 

最終的な上部構造の予測のために調整したステントの指示部分や歯の部分

1) MMAレジンのポリマーと硫酸バリウムを混ぜたモノマーを使用

2) MMAコートバリウムを 3~7%含有させたレジンを使用

3) 接着性レジンにあらかじめ造影剤を混入した製品を使用

4) レジン製ステントの内面にX 線不透過性が低いシリコーン製剤を使用

 

人工歯根の植立位置と方向を示すための素材

1) ステンレス管を使用

2) ガッタパーチャを使用

3) X 線不透過性の疑似歯にホールをあけて使用

4) チューブスプルーを使用

5) シリコーン系バイト材を使用

 

MRI によるインプラント術前診断について

インプラント術前診断に CT に代えて MRI を利用することには、明確な根拠は ない。ただし、下顎管が CTで不明確な場合に MRIが役立つことがある。

・ 下顎管の検出において MRI が CTと同等以上という文献があり、症例によっ ては、CTに代えてMRI を用いることは勧められる。

特に、 CTで下顎管が描出されに くい症例でも、MRI では描出可能である。しかし、臨床における多断面再構 成画像の利用状況を考慮するならば、現時点では MRI が CTに取って代わるべきと結論 づけるだけのエビデンスはない。

下顎管が CTで不明確な場合に MRI が補完しうる場合がある。

・ 断面画像における距離計測精度は、CTが MRI よりも優れる。

・ 金属アーチファクトにおいてMRI は CTよりも有利とする記述がある

・ 上顎については、MRI による上顎洞底の検出(視覚的評価)についての記述はあるが、CTと比較検証した文献は無い。

インプラント周囲炎に対する画像診断について

インプラント周囲炎の画像診断として推奨される方法はなにか?

インプラント周囲炎には、口内法 X 線による評価が推奨されている。ただし、 その他の画像診断法に関して明確な根拠はない。

フィクスチャー周囲の骨吸収の診断に standardized periapical radiographを用いるべきで ある。パノラマ X 線写真は解像度が低く、投影方向を変えにくいためフィクスチャー周 囲の骨吸収の診断に限界がある。

 

MDCTと CBCTの使い分けについて

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科放射線学会から出ている
「 インプラントの画像診断ガイドライン」 を読んで勉強しています。
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MDCTと CBCTの使い分けについて は?

被曝線量の差を考慮すると、限定された照射野で済む症例の場合には CBCT を 選択するべきである。ただし、MDCT(SDCT を含む)と CBCT の使い分けに関する明確 な根拠はない。また、CBCTでは CT値の計測はできない。

 

・ CBCTは機種による被曝量の差はあるが、いずれもMDCTよりも低い。しかし、 多数部位に渡る場合には必ずしも被曝線量が低いとは限らない。 ・ 距離計測精度は MDCT よりも CBCT の方が優れている。一方、視覚的評価で は MDCTが優れるとする見解がある。
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・ E.A.O.や EU のガイドラインでは、インプラントが複数歯の場合には断層もしくは CT の適応としている。しかし、MDCTと CBCTの使い分けに関しては、インプ ラントの予定部位と本数による使い分けのガイドラインやエビデンスを提示した文献 は認められない。 ・ CBCTでは CT値は計測できない。

 

CTによる骨質評価について

インプラントの予後を推定するために骨質を評価するにあたり、CT値をその指 標とすることには明確な根拠はない。

・ EU のガイドラインには、「診療医は次の項目についての情報を必要とする」として次の 記述がある。

①骨の質と骨の量、

②残存骨の頬舌幅と高さ、

③骨外形の傾き、

④骨のアンダーカットの存在、

⑤非典型的な解剖構造(たとえば大きな骨髄腔)、

⑥病変の存在、

⑦特定の解剖構造の正確な位置(たとえば上顎洞、下顎管、オトガイ孔)。

 

この中で、ボリュームデータによる MPR 画像などで三次元的な画像表示を行えば、① の骨の質(骨質)以外の評価

・ 骨質の主観的分類である Lekholm と Zarb の分類が、予後と強い正の相関関係を持つと されている。

ただし、本来は断面画像で評価すべきところを、口内法やパノラ マなどで評価がされている点に問題がある。CT 値は、部位や性別などにより大きく左 右されるが、骨密度をほぼ反映している

(できればQCT[quantitative computed tomography 定量的 CT]が望ましい)。しかし、CT値と予後とは無関係であり、骨皮質 の厚さが埋入時のトルクや RF(resonance frequency 共振周波数)による安定度が関連し ている(EL. V)。

Lekholmと Zarb の分類と CT値はほぼ無関係であり、CT値では骨質 を評価できないといえる。CT の MPR を用いて Lekholmと Zarb の分類を行えば、さら に予後を左右する因子として重要性が増し、評価項目の第一となる可能性は残されてい る。

 

CTによる距離計測について

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科放射線学会から出ている
「 インプラントの画像診断ガイドライン」 を読んで勉強しています。
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.CTによる距離計測について

インプラント術前診断における MDCT(SDCT を含む)や CBCT を使用した距 離計測は、臨床的に十分な測定精度を有している。ただし、適切な撮影条件について明確
な根拠に基づいたものはなく、専門家の意見にとどまる。なお、撮影時にガントリーは傾 けるべきではない。 

・ MDCT・CBCTいずれも、インプラント術前検査として十分な測定精度を有している。ただし、臨床的にどの程度の空間分解能が必要かという問いに対するエビデンスは 無い。 ・ MDCTでは、スライスが薄く画像再構成間隔が狭いヘリカルスキャンを使うべきであり、 コンベンショナルスキャンは好ましくない 。ただし、最適なスライス厚につ いてのエビデンスは無い。 ・ MPR 画像の歪みを避けるために、ガントリーは傾けるべきではない。 ・ インプラント診断のための最適な撮影条件を規定しうる因子は多岐にわたり、ガイドラ
インとして特定の条件をベストとして提案することは難しい。このため、使用機種の特
性を熟知し、最小限の被曝線量で診断に必要十分な画質を得られる条件を設定できるよ うな、歯科放射線分野の専門家が必要である。