1回治療法を用いた歯内療法後の初発根尖病変を有する ヒト下顎第一大臼歯根尖部根管系の細菌学的状態

アクアデンタルクリニック院長の高田です。

1回治療法を用いた歯内療法後の初発根尖病変を有する
ヒト下顎第一大臼歯根尖部根管系の細菌学的状態

根管治療の英語論文を読みました。

学んだ内容

目的.歯内療法1回治療法治療後の初発根尖性歯周炎を有するヒト下顎第一大臼歯近心根の根尖部根管系の
in vivo の根管内細菌状態を評価することを目的とした。
根管内の残留感染は、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡の相関視野観察により確認した。

研究デザイン:16歯の下顎第一大臼歯感染近心根管は、それぞれ歯内療法
1回治療法による治療が行われた。
近心頬側根はステンレス製手用ファイルを用いて、
そして近心舌側根はNi-Ti製ロータリーシステムを用いて形成した。
これらの根管を、根管形成中は5.25%次亜塩素酸ナトリウムを用いて根管洗浄し、
10mLの17%工チレンシアミン4酢酸(EDTA)を用いて最終洗浄後、ガッタバーチャと酸化
亜鉛ユーシノールセメントを用いて根管充填した。
その後、それぞれの歯の根尖部分をフラップ手術により取り除いた。

サンプルは固定、脱灰、水平面で分割された後、樹脂包埋し、そして光学顕微鏡と透過電子顕微鏡
の相関視野観察に供した後、評価された。

結果:根管形成、抗菌洗浄、そして根管充填した16歯の歯内治療歯のうち14歯において、
根管内の残留感染が明らかとなった。
細菌は、そのほとんどがバイオフィルムとして存在し、隔絶された凹み、
形成後の主根管の憩室、根管イスムス、そして副根管に存在した。

結論.(1)下顎第一大臼歯歯根の根管系の解剖学的複雑性、
(2)歯内療法1回治療法においては現在の器具や洗浄のみでは
取り除くことのできない根管系の隔絶された場所におけるバイオフィルムとしての細菌叢の存在、
という結果が明らかとなった。
根管治療後の非常に良好な長期的予後を期待するために、バイオフィルムを破壊し、
根尖部内の細菌や細菌関連物質を可能な限り低いレベルまで減少させて壊死感染根管歯の治療を行うためには、非
抗菌的なあらゆる化学的機械的洗浄手段の徹底した使用か重要であることを、これらの所見は示している。