「リラインとリベースのガイドライン」

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本補綴学会から発表されているガイドライン

「リラインとリベースのガイドライン」 を勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

☆リラインとリベースの違い☆
下顎位と咬合関係は正しいが,義歯床粘膜面の適合が不良となった場合に
義歯床を新しい義歯床用材料に置き換え,義歯床下粘膜との適合を図り,

義歯床粘膜面の一層を置き換えることをリライン,
人工歯部以外の義歯床を置き換えることをリベースという.

リライン(reline,relining)は床裏装法,
リベー ス(rebase,rebasing)は改床法あるいは床交換法とも呼ばれ,
広義では,両者を併せてリベースということもある.

リラインには,口腔内で直接圧接や筋圧形成(筋形成,辺縁形成)を
行いながら処置をする直接法と,

ダイナミック印象(動的印象)などを行ったのちに
義歯を預かって技工室で行う間接法がある.

なお, リベースは直接法では行うことができず,間接法で行われる。

直接法は,モノマーや重合反応熱により顎堤粘膜を刺激する場合があるが,
義歯を預かる必要がなく,診療の場で行えるため広く用いられている.

リライン材,特に厚みを確保したい軟質リライン材の場合,直接法では,
リライン前に義歯床粘膜面をリライン材の厚み分だけ削除する必要がある.

また,一定の厚みを確保できなかったり,厚みの確保のため,
咬合高径が変化することがある.

これに 対し,間接法では,直接法に比べ適切な厚みを得ることができること,
唾液との接触がないため接着力 が向上することなどの利点がある.

また,リライニングジグを用いることによって 操作を数時間で行うことができるため,
義歯を預かる時間を少なくできる。

☆材料による種類と特徴☆
リラインおよびリベースに使用する材料には,硬質と軟質の2種類がある.
硬質材料はアクリル系であり,

軟質材料はアクリル系,シリコーン系,ポリオレフィン系などである.

同系の材料でも組成や物 理的・機械的性質が異なるため,
これらの材料の特徴と特性を熟知し,症例に応じて選択することが重要である.

硬質材料と軟質材料の選択基準は?
一般には硬質材料を用い,緩圧が必要な場合に軟質材料を用いる。

☆義歯床と顎堤粘膜との適合検査☆
義歯床と顎堤粘膜との適合状態を適合試験材によって検査する.

また,義歯の維持・安定と吸着状態 を口腔内で検査する.

義歯床粘膜面は適合しているが,咬合すると脱離する,

あるいは顎堤粘膜に疼痛が生じる場合は,下顎位と咬合関係を検査し,
咬合調整,義歯床粘膜面の調整により改善がみられるか否かを検査する

☆下顎位を含む咬合関係の検査☆

下顎位や咬合高径など,咬合関係が適切であるか否かを検査する.

下顎位と咬合にわずかな問題がある場合,咬合調整,あるいは咬合面再形成により,
これらが改善できるか否かを検査する.

改善できる場合のみがリライン(リベース)の適応となる
リラインとリベースのいずれの場合も,操作に先立って義歯床粘膜面を一層削除する.

フラビーガム や口蓋隆起などの骨隆起がある場合には,
必要に応じて同部の義歯床粘リラインとリベースのいずれの場合も,操作に先立って義歯床粘膜面を一層削除する.

フラビーガム や口蓋隆起などの骨隆起がある場合には,必要に応じて同部の義歯床粘膜面の削除量を多くしたり,
遁路を設けたりする.
ただし,削除量が多く,レジン床の部分が薄くなると一般に強度は低下するため注 意が必要である .

膜面の削除量を多くしたり,遁路を設けたりする.
ただし,削除量が多く,レジン床の部分が薄くなると一般に強度は低下するため注意が必要である。

☆常温重合型レジンによる操作☆

①リライン材を混和し,流動性が低下してクリーム状になった時点で
義歯床粘膜面全体に均等に盛り,
適当な粘稠度(表面の光沢がなくなった)になった時点で
口腔内に挿入する.

②咬頭嵌合位で軽く咬合させ,次いで筋圧形成(筋形成・辺縁形成)を行う.

③レジンが餅状よりやや硬めになった時点で,
義歯を口腔外に取り出して余剰なレジンを除去する.

再度,口腔内に装着して,レジンの硬化を待つ.硬化促進剤を用いて,
口腔外で完全硬化させる場合もある.

④十分に硬化させた後,義歯を口腔外に取り出す.
⑤形態修正,リリーフすべき部位の調整,咬合調整を行い,研磨する.

☆光重合型レジンによる操作☆

①義歯床粘膜面に光重合レジンを盛り上げ,口腔内に挿入する.

②咬頭嵌合位で軽く咬合させ,次いで筋圧形成(筋形成・辺縁形成)を行う.
③余剰のレジンを除去後,再度口腔内で同じ操作を行う.

この操作は,温湯に浸して粘度を低く しながら繰り返し行う.

④冷水を口に含ませて,レジンの粘度を高くし,変形させないように注意深く取り出す.
⑤光重合レジン面全体に空気遮断材を塗布し,光照射器により重合を行う.

⑥空気遮断材を流水で洗い流す.

⑦形態修正,リリーフすべき部位の調整,咬合調整を行い,研磨する.

部分床義歯の場合には,レストをレストシートに適合させ,
義歯が口腔内の所定の位置に収まるように手指圧で保持し,筋圧形成を行う.

また,常温重合型レジンを使用する場合には,歯間部や顎堤の アンダーカット部にレジンが侵入,硬化し,
義歯が外れなくなることがあるので,餅状期に口腔外に撤去して余剰レジンを取り除いた後,
硬化するまで幾度か口腔外に撤去する必要がある.