抗血栓薬を使う患者さんへのアプローチ

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本口腔外科学会から出ている
「 抗血栓療法患者の抜歯のガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

近年のワーファリンを投与されている患者さんへの観血的処置の考え

抜歯にあたりワルファリンを中断すると約1%に重篤 な脳梗塞を発症し,死亡例も報告されています(Arch Intern Med, 158: 1610-1616, 1998, 構造化 抄録5).また,脳梗塞患者が再発予防のために服用しているアスピリンを中断すると,脳梗塞発 症率が3.4倍になるとされています(Arch Neurol, 62:1217-1220, 2005, 構造化抄録70).ワルファ リンや抗血小板薬を中断することによる血栓・塞栓症イベント合併へのリスクがあることから,同 薬剤は中断しないで抜歯することが望ましく,英国のガイドラインでは,血液凝固能検査のPTINR値が2.0~4.0の治療域に安定している場合にはワルファリンを継続したまま抜歯を施行し ても重篤な出血性合併症はないため,中断するべきではないとしています.

 

服薬を中断せず抜歯を行う施設が多くなってきたが,「継続」か,「中断」かの選択は,施設や医師, 歯科医師によって異なり,まだ十分なコンセンサスが得られていないというのが現状と言ってよい. しかし最近,にわかにワルファリン中断により約1%に重篤な脳梗塞による死亡例などを誘発する 危険性が問題視され,術中出血あるいは後出血など局所のトラブルより,なんといっても全身的リ スクを優先させて治療計画を立てる必要がある.

旧ガイドラインのCQに対して,最近5年間に出 された論文を参考に,最新の情報に基づいた推奨・解説を提供することです.また,新規経口抗凝 固薬服用患者あるいはアスピリン,塩酸チクロビジン以外の抗血小板薬の服用患者,さらに複数の 抗血栓治療薬を服用している患者の抜歯をいかに安全に行うかの推奨・解説を,最新のアプローチ で提供することです.

新規経口抗凝固薬服用患者あるいはアスピリン,塩酸チクロビジンに加え,そ れ以外の抗血小板薬の服用患者,さらに複数の抗血栓治療薬を服用している患者の抜歯をいかに安 全に行うかという新規CQに対し,2014年Mindsシステムで推奨・解説を行うものになる。