咬合と歯周病のリスクファクターの検査項目

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
今日は 日本歯周病学会から発表されているガイドライン

「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

咬合と 歯周病のリスクファクターの検査項目
・歯の動揺度
・早期接触
・ブラキシズム
・喫煙 ストレス
・歯周病に関連する全身疾患

・歯の動揺度
定 義:
通常ピンセットを使用して,歯の動揺の程度や方向を示す.

方 法:
判定基準は,0(生理的動揺 0.2 mm 以内),1 度(軽度,0.2~1 mm),
2 度(中等度, 1~2 mm),3 度(重度,2 mm 以上,
または垂直方向の動揺)にわけられる(Miller の分類).

意 義:
歯の動揺は,歯根膜の拡大と歯槽骨の高さにより影響を受ける.
咬合性外傷や急性炎 症の際には,特に動揺が強くなる.
エックス線写真では,初期変化として歯槽骨頂 部における歯根膜腔の拡大(ロート状拡大),
さらに根尖部方向に拡大が増加してい く.

・早期接触

定 義:
下顎の閉口運動や偏心運動時に,ほかの歯よりも先に咬合接触すること.

方 法:
閉口運動を数回行い再現性のある咬頭嵌合位(中心咬合位)を得る.
偏心運動では, 咬頭嵌合位からおもに側方滑走運動および前方滑走運動を数回行い再現性を得る.
その後,咬合紙を使用して印記し,早期接触歯と接触部位を特定する.
特に,動揺歯に おいては,指の腹を歯に添え,
咬合接触時の振動(フレミタス)を触知するなど,
注 意深い検査が必要である.

意 義:
早期接触歯は,過剰な咬合力が集中し,組織の順応性を上回ることがあり,
咬合性外傷を引き起こす主要原因となる.
また,過去において早期接触状態があり,その適 応として歯が動揺,
移動したり(病的移動),咬耗(過度の咬耗)したりする.

・ブラキシズム
定 義:
咀嚼筋群が異常に緊張し,咀嚼・嚥下および発音などの機能的運動とは関係なく,
上 下の歯を無意識にこすり合わせたり(グラインディング),
くいしばったり(クレンチ ング),連続的にカチカチと咬み合わせる(タッピング)習癖である.

方 法:
医療面接(問診)において,本人ならびに同居する家族等から,
ブラキシズムの有無 を聞き出す.

また,年齢からみて過度な咬耗,あるいは 1,2 歯ではなく広範囲の異 常咬耗は,
ブラキシズムの可能性が高い.

本人や家族が気づいていない場合でも,ク レンチングについては,
粘膜や舌縁部の圧痕を参考にできることもある.

さらに, オクルーザルスプリントを使用して診断することもある.

意 義:
ブラキシズムは,咬合性外傷を引き起こす主要原因である.

歯周炎に,ブラキシズム による咬合性外傷が合併すると病変が急速に進行し,
短期間に重度の歯周炎へ進展することが多い。

・喫煙・ストレス
定 義:
喫煙はタバコ煙の吸引行為であり,直接喫煙と間接(受動)喫煙がある.

ストレスと は心理的,社会的緊張により,心身に生じる機能変化である.

ストレスの原因因子 (ストレッサー)は,
生物学的・社会的・物理化学的なものに分けられる.

方 法:
医療面接において,本人ならびに同居する家族等から聞き出す.
喫煙状態は 1 日のた ばこの喫煙本数を尋ねることで把握できるが,
たばこ臭,歯肉の黒色変化からも分かる.

ストレスには意識的なものと無意識的なものがあり,個人による感受性が著しく
異なるので注意深い観察が必要である.

意 義:
喫煙は,歯周病の主要なリスクファクターであり,喫煙者は非喫煙者に比べ 2~9 倍,
歯周病の罹患率が高い.

禁煙することで,歯周病の進行リスクが低下し,
歯周治療 効果が上がることが実証されている.

ストレスと歯周病の関係については,喫煙ほど十分に証明されているとはいえないが,
近年その因果関係,関連性が解明されつつある.

歯周病に関連する全身疾患
定 義:
歯周病の発症と進行に関連する全身疾患である,

糖尿病,心臓血管疾患,誤嚥性肺炎, 早期低体重児出産,
骨粗鬆症,自己免疫疾患(アレルギー,リウマチ),白血病などが あげられる.

方 法:
医療面接において,本人ならびに同居する家族等から疾患の既往,
治療経過,現在の 状態を聴く.歯周炎の診断や治療に必要であれば
主治医に病状を問い合わせる.

意 義:
歯周病と全身疾患の因果関係および関連性を解明する
ペリオドンタルメディシン(歯周医学)が近年発展し,
日本においてもエビデンスが蓄積されてきている.

全身疾患 が歯周病に影響するだけでなく,
歯周病が全身疾患の発症・進行に関連することが明 らかになりつつある.

岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く

歯肉炎の分類
・プラーク性歯肉炎
・慢性歯周炎
・侵襲性歯周炎

侵襲性歯周炎
定 義:歯周炎を除き全身的に健康であるが,
急速な歯周組織破壊26(歯槽骨吸収,アタッチメントロス),
家族内発症を認めることを特徴とする歯周炎である.
AAP(アメリカ歯周病学会)の分類(1991 年)における,
若年性歯周炎,早期発症型歯周炎が含まれる.
一般的にプラーク付着量は少なく28),10~30 歳代で発症することが多い.
患者に よっては,A. actinomycetemcomitans や P. gingivalis の存在比率が高く29),
生体防御機 能30~32),免疫応答33)の異常が認められる.

侵襲性歯周炎は,個人レベルの診断名として使用する.
診断法:
個人レベルの診断:
全身疾患がないか,家族内発症があるかを確認する.
年齢に比較して歯周組織の破 壊速度が急速である場合が侵襲性歯周炎である.
なお,7 歯以下(全部位の 30%未満) に局在しているものを限局型とし,
8 歯以上(全部位の 30%以上)に広がっている場 合を広汎型とする.

意 義:
侵襲性歯周炎の罹患率は,0.05~0.1%とされている.
一般の歯周治療では難治性を示す場合があるため,歯周病専門医に紹介するのが第一選択である.
歯周組織破壊の原 因は,A. actinomycetemcomitans などの歯周病原細菌の関与,
生体防御機能の低下,歯 周炎感受性遺伝子の関与などが考えられている.
歯周治療において,特定細菌排除の ための細菌検査,
抗菌薬の経口投与も選択肢の一つである.

患者本人への治療は もちろん,家族に対しても歯周病検査を行い,必要に応じた治療,予防を行うことも 重要である.

咬合性外傷
定 義:
咬合力により生じる深部歯周組織(セメント質,歯根膜,歯槽骨)の傷害であり
,健 全な歯周組織に過度な咬合力が加わり生じる一次性咬合性外傷と,
歯周炎による組織 破壊の結果,支持歯槽骨が減少して生じる二次性咬合性外傷に分けられる.

咬合性外 傷は 1 歯単位の診断名である.

診断法:

外傷性咬合が認められる歯において動揺度が 1 度以上あり,
かつエックス線所見で辺 縁部歯根膜腔の拡大・垂直性骨吸収が認められる歯については,
咬合性外傷と診断する.
その他の所見としては,過度の咬耗,2 歯の病的移動,3 歯の破折,
エックス線所見での4 歯槽硬線の消失・肥厚,5 歯根吸収,6 セメント質の肥厚を伴うことがある.
咬合性外傷を引き起こす原因としては,1 早期接触, ブラキシズム,
3 義歯の維 持装置,4 舌と口唇の悪習癖がある.

意 義:
力により生じる咬合性外傷は,プラーク細菌により生じる歯肉炎・歯周炎とは異なる 疾患であるが,
中等度から重度の歯周炎に罹患した歯は,大多数が二次性咬合性外傷 を併発している.

両疾患が併発している場合は,歯肉炎・歯周炎単独と比べて治療が
難しくなり、プラーク細菌に対する処置に加えて咬合力に対する処置が必要となる.

岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く