歯周病患者におけるインプラント治療

アクアデンタルクリニック院長の高田です。

今日は 日本歯周病学会から発表されている
「歯周病患者におけるインプラント治療」のガイドラインを勉強しています。

大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

1,インプラント周囲組織のプラークに対する抵抗性

 Marinello や Lang は,動物実験で
インプラント周囲にプラークを沈着させると
組織破壊が生じることを報告している.

また,Schouは,サルにおける実験で,
インプラントと天然歯のプラーク細菌について検索し,
細菌叢は類似していることを報告している.

この結果は,ヒトで示された結果とも一致していた.

また,プラークによる炎症の拡大は,
歯周組織とインプラント周囲組織では異なり,
歯周炎では,結合組織に炎症は限局しているのに対し,
インンプラント周囲炎では,炎症はさらに歯槽骨および骨髄組織に波及していた.

結論として,インプラント周囲組織は,歯周組織とは異なり,プラークに起因する炎症性病変に
対処する組織化が不十分であることを示唆している.

2,インプラント周囲組織に及ぼす咬合力の問題点

インプラント上部構造に対する外傷性咬合は,
骨とインプラントとの接触面に応力が集中し,
インプラント頸部のオッセオインテグレーションを失うことになる.

また外傷性咬合は,埋入部の骨質の脆弱であったり,
また骨量が不足しているために咬合負荷の分散がなされず,
強大な咬合力として作用してインプラントを支持する歯槽骨に影響を及ぼす.

骨結合型インプラントでは,
歯根膜や結合組織などの軟組織を介さず,
歯槽骨と直接接しているので,天然歯にみ
られるような生理的動揺がみられない.

したがって,わずかな咬合接触の変化が早期接触となりうる.

また,咬合負荷時の沈下量が天然歯と異なるとともに,
側方力が歯頸部に集中することや,自己感覚受容器がないために
インプラント部の咬合接触情報が直接下顎運動調節にフィードバックされないなどの
インプラントに及ぼす問題点がある.

歯周病患者では歯槽骨のレベルが低下しており,クラウン─インプラント・レシオの悪化が考えられ,
これにより側方力などに対する抵抗性が低下していることが考えられる.

過3,重負担を発症する原因として以下のことがあげられる.

 1.骨質不良な部位に埋入したインプラント.

 2 .インプラントの位置または数が,インプラントへの荷重をインプラント表面に理想的に
   伝達するように埋入されていない.

 3.異常咬合習癖があり,咬合力の強い患者.

 4.上部構造が正確にインプラント体に適合していない.

 5.CI レシオの悪化.

 したがって,それぞれの因子を見極め,インプラント植立時およびインプラント周囲炎など
の治療時には,以上の原因因子を治療前に除去しておかなければならない.

4.インプラント周囲の非可動性粘膜の存在について

 Wennstr によれば,角化粘膜の幅が 2mm 未満と 2mm 以上のものとを比較して,
両者でプラーク指数,歯肉炎指数などの臨床的評価に差がなかった.

一方,Warrer ら は,角化粘膜の欠如したインプラント周囲は,
角化粘膜のある部位よりプラークによる組織破壊に
対して抵抗性が低く,退縮や付着の喪失量が大きいため,インプラント周囲には十分な非可動
性の角化粘膜が必要であるとしている.

このように,インプラント周囲における非可動性の角化粘膜の必要性に関しては,
意見の一致をみていない.

しかし,補綴物装着後の軟組織の退縮を少なくするには,
インプラント周囲に非可動性角化粘膜の有効性は示されており,
特に上顎前歯部などの審美領域における修復処置では,非常に重要になってくる.特に歯周病によって
歯を喪失すると歯槽突起を喪失する場合が多く,その結果,角化粘膜の喪失や口腔前庭の狭小を生じる。

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