根面う蝕の修復処置にコンポジットレジンとグラスアイオノマーセメントのどちらを使用するか?

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。

 

根面う蝕の修復処置にコンポジットレジンとグラスアイオノマーセメントのどちらを使用するか?

辺縁適合性や二次う蝕の発生の点で、根面う蝕に対するコンポジットレジン修復とグラスアイオノマーセメント修復の1年まで臨床成績に有意な差は認められない。よって 接着システムの性能を十分に発揮させる条件下ではコンポジットレジンを使用し、う蝕が歯肉縁下におよび 防湿が困難な場合にはグラスアイオノマーセメントを使用するよう推奨される。

う窩の形成にいたり、修復処置が必要とされる根面の う蝕に対しては臼歯の臨在面であっても充填処置が行われることが多い。これは インレーやあんれーによる修復を行うとすれば歯冠を大きく削除しなければならず、抜髄を余儀なくされるケースが少なくない。

現在わが国では 根面う蝕の修復には コンポジットレジンか グラスアイオノマーセメントが用いられている。歯質接着性や強度、審美性の点では コンポジットレジンは明らかにグラスアイオノマーセメントより優れており、5級窩洞や くさび状欠損の場合と同様に 根面う蝕の修復でも非常に高頻度に使用されている。一方 歯冠部と異なり咬合力が直接作用しない部位であることや一連のの修復操作が簡便であること、あるいはフッ化物徐放性を有することなどから従来型または レジン添加型グラスアイオノマーセメントの使用を推奨する意見も根強い。両社の使い分けについては う蝕リスクに基づく選択などが提唱されているものの、根拠に基づく明確な指標とは言えづ、論理的かつ実用的な適用表示の必要性が高まっている。

根面う蝕に対するコンポジットレジン修復とグラスアイオノマーセメント修復の臨床成績を直接比較した研究は少なく、また 特にコンポジットレジン修復に関しては、単独での臨床評価を含め 現在は市販されていない材料についての成績を報告したものがほとんどである。現時点でも臨床で使用されている材料を用いた1編の非ランダム化比較試験では う蝕ハイリスク者の根面う蝕の修復処置におけるコンポジッドレジンと レジン添加型グラスアイオノマーセメントの1年間の臨床成績が比較された。その結果 コンポジットレジン修復では21症例っ全てで脱落は見られなかったが。レジン添加グラスアイオノマーセメントでは27症例中1例脱離が認められた。修復物の保持の点ではコンポジットレジンの方が優れているとされている。また、二次う蝕や辺縁適合性を含めた その他の評価項目では優位差は認められず、う蝕ハイリスク者においては、フッ化物を徐放するグラスアイオノマーセメント修復に優位はなかった。

一方、酸ー塩基反応によって酸化するグラウアイオノマーセメントは被着面に多少の水分や感染が存在しても酸化や接着に問題が生じにくい材料であり、この特性は ある程度十分にう蝕が除去された被着面と厳密な防湿を必要とする根面う蝕の修復処置にコンポジットレジンとグラスアイオノマーセメントのどちらを使用するか?