う蝕の診査

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。

 

近年のクリニカル・カリオロジーの発展により う窩形成前の初期う蝕を早期的に診断し、切削介入にいたらないように早期管理することが

う蝕治療の課題になっている。

エナメル質初期う蝕の診断に重点を置いた新しいう蝕進行分類でも修復処置の推奨基準が変化してきている。

ときに歯冠部う蝕が多発し、侵攻の早い7歳~18歳の永久歯初発う蝕に対する診断は重要である。

しかし、永久歯咬合面のいわゆるhidden cariesおよび隣接面における初発うしょくの診断にはばらつきが多く切削介入の決断基準が歯科医師間で定まっていない現状がある。そこで咬合面う蝕および隣接面う蝕の検出に精度の高い診査方法ならびに どの程度進行したう蝕であれば ただちに修復対象にすべきかを

ガイドラインとして示して、わが国における新たなコンセンサス形成の一端にしたい。

 

現在 う蝕検査には視診・触診・咬翼法エックス線・電気抵抗・透過診・レーザー蛍光法などが用いられている。それらの検診の有効性に関しては咬合面う蝕に関しては視診・触診・咬翼法エックス線・電気抵抗およびレーザー蛍光法・隣接面う蝕では視診・触診・咬翼法エックス線が評価の対象になっている。

古くから う蝕の診査には明るい照明の下でミラーと探針を用いた視診と触診が行われてきた。咬合面う蝕では小窩裂溝の着色状態、探針を引き抜く時の抵抗感などを指標にしてきたが、その病理的診断は術者により大きく異なっている。また探針により再石灰化可能な裂溝を医原的に破壊してしまうことが懸念される。

しかし、視診は患者の口腔内全体を観察するという点では、う蝕経験や清掃状態などのう蝕のリスク判断には欠かせない。探針による触診は強い力で歯質を突き刺すようなことをしなければ 咬合面や隣接面の歯垢や食片を除去し 歯や修復物の表面およびそれらの界面の微妙な感触でう蝕病変の情報を得ることができる。う蝕形成にある場合は触診と視診の感度は う蝕形成のない状態に比べて格段に上がるとされている。

視診では鋭い目を持つことが要求されるため、裸眼だけではなく双眼拡大鏡を よういすることも有効である。う蝕検査を精密に行うために、診断に先立ってはブラシやデンタルフロスによる歯面清掃とスリーウェイシリンジデ歯面乾燥を十分に行うことは言うまでもない。したがって従来通りの視診と触診は推奨される。