根尖切除術、逆根管充填、ヘミセクション

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯内療法学会から発表されている

「歯内療法 ガイドライン」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

根尖切除法

適応症 根尖掻爬とともに行う根尖切除は、以下の臨床条件がみられるとき適応である。
1)慢性的な症状あるいは瘻孔があるとき。
2)適切な根管充填後に、経過観察のX線写真上で、根尖病変の拡大がみられるとき。
3)刺激となり治癒を妨げるような著しい過剰根管充填がなされているとき。
4)診断的外科処置。
5)外科的に露出した歯根の裏側あるいは隣の歯根に対して根尖掻爬あるいは生検が必要とされるとき。
6)根管充填材の根尖部封鎖性に関して評価が必要なとき。
7)逆根管充填用窩洞の形成や逆根管充填が必要なとき。
8)逆根管充填材による封鎖が不可能で根尖部分の除去が必要なとき。

処置法
根尖切除法は根尖部分や周囲軟組織の摘出処置である。
粘膜骨膜弁を外科的に剥離し、 必要ならば直視し病変部に到達できるように骨を除去する。
感染した根尖部や目的となる 組織あるいは異物を全て除去する。手術部位の一次治癒が望まれる。

目的
1)臨床症状の悪化を未然に防ぐ。
2)硬組織や軟組織の良好な治癒を促進させる。
3)隣接歯や周囲組織への傷害を防ぐ。
4)可能な限り歯根長を保つ。

逆根管充填法/外科的歯根修復

適応症
逆根管充填や外科的歯根修復は、解剖学的に可能なら、以下のような条件がある場合に 適応である。
1)非外科的な方法では封鎖できないような不適切な根尖封鎖が原因となっている根尖病変が存在し、
それによる慢性的な症状あるいは瘻孔があるとき。
2)非外科的歯内療法による根管充填が不可能な根管閉鎖があり、根尖部の症状もしくは 根尖病変が存在する歯。
3)歯根穿孔の修復。
4)吸収性の欠損の修復

処置法
粘膜骨膜弁を外科的に剥離し、必要ならば直視し病変部に到達できるように骨を除去する。
感染した根尖部や目的となる組織あるいは異物を全て除去する。
逆根管充填用窩洞を形成し、生体親和性の修復材料を充填する。
手術部位の一次治癒による閉鎖が望まれる。
1)逆根管充填は根尖切除に続いて行われる処置である。生体親和性の修復材料を逆根管 充填用窩洞に充填する。
岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く
2)外科的歯根修復は生体親和性の充填材料で歯根表面を修復する処置であり、根管系を 含むこともあれば、含まないこともある。

目的
1)臨床症状の悪化を未然に防ぐ。
2)硬組織や軟組織の良好な治癒を促進させる。
3)隣接歯や周囲組織への傷害を防ぐ。
4)可能な限り歯根長を保つ。
5)逆根管充填や外科的歯根修復材の使用は、形成した窩洞内に限定する。
6)根管系もしくは欠損部を封鎖する。
7)周囲骨や根尖歯周組織に、逆根管充填材や外科的歯根修復材料の散在を避ける。

歯根分割/ヘミセクション

適応症
ヘミセクションは、以下の臨床条件がみられるとき適応である。
1)III級あるいはIV級の根分岐部病変。
2)複根歯の一根に骨縁下欠損が存在するが、歯周治療では治癒が期待できないもの。
3)根分岐部にまで達する歯冠破折。
4)垂直性歯根破折が一根に限られ、分割除去が必要なもの。
5)根面う蝕、吸収性の歯根欠損もしくは穿孔が存在し、歯根を除去することなしでは手術が不可能であったり、
正確な処置ができないもの。
6)非外科的処置や歯周外科処置では治癒を期待できない慢性の根尖病変で、一根に限られたもの。

処置
ヘミセクションは、歯根とともに歯冠の一部を分岐部を通して除去する外科的な分割である。
稀にこの術式が上顎大臼歯や小臼歯でも行われる。
また、分割した歯根が保存され ることもある(歯根分離)。
ヘミセクションでは保存される歯根の全てに非外科的歯内療 法が要求される。
可能ならば、ヘミセクションを行う前に全ての根管充填を終了させ根管 口部に永久修復を行っておくことが望ましい。

目的
1)臨床症状の悪化を未然に防ぐ。
2)重度の歯周病変の除去または軽快。
3)残された歯根に十分満足のいく根管充填をする。
4)残された歯根に適切な外形を付与する。
5)歯髄腔の開口部の封鎖。
6)修復により患者自身がメンテナンスできる歯の構造を付与する

歯根切除法/ルートアンプテーション

適応症
歯根切除は、以下の臨床条件がみられるとき適応である。
1)III級あるいはIV級の根分岐部病変
2)複根歯の一根に骨縁下欠損が存在するが、歯周治療では治癒が期待できないもの。
3)ヘミセクションに向かない固定式補綴物が装着されているもの。
4)垂直性の歯根破折が一つの根に限られ、分割除去の必要なもの。
5)根面う蝕、吸収性の歯根欠損もしくは穿孔が存在し、歯根を除去することなしでは手術が不可能であったり、
正確な処置ができないもの。
6)非外科的処置もしくは根尖部の外科処置では治癒が不可能な慢性の根尖病変。
7)少なくとも一つの根が構造的に健全である。

処置法
歯根切除は、健全な歯冠部をそのままに、歯根を外科的に除去する処置である。
歯根切除は保存される歯根全てに根管処置が必要である。
可能ならば、歯根切除を行う前に全て の根管を完全に処置し、根管口部に永久修復を行うことが望ましい。

目的
1)臨床症状の悪化を未然に防ぐ。
2)重度の歯周病変の除去または軽快。
3)残された歯根に十分満足のいく根管充填をする。
4)残された歯根に適切な外形を付与する。
5)歯髄腔の開口部の封鎖。
6)修復により患者自身がメンテナンスできる歯の構造を付与する。
7)切除すべき歯根を有する歯の補綴物を保存する。