根管貼薬剤としての水酸化カルシウム長期貼薬は歯根破折の危険性を増す可能性がある

アクアデンタルクリニック院長の高田です。

根管貼薬剤としての水酸化カルシウム長期貼薬は歯根破折の危険性を増す可能性がある

根管治療の英語論文を読みました。

学んだ内容
幼若歯は水酸化カルシウムが貼薬され、ガッタバーチャで根管充填されると脆くなることが1992年にCvekにより提唱された。
本研究の目的は、水酸化カルシウムと接した象牙質は、ある一定期間経過後に破折強度の減少を示すという仮説を調べることであった。
ヒッジの下顎幼若切歯は抜歯され、そして2つの実験群に分類された。
実験群1として、歯髄は根尖ロで抜髄した。その後、根管を水酸化カルシウムで充填し、IRM(R)セメントで封鎖した後、それらの歯は、室温で0.5、1、9、あるいは12か月生理食塩液中に保管された。
実験群2として、歯髄を抜髄したあと、生理食塩液で満たし、旧M(R)セメントで封鎖した。
それらの歯は2か月間生理食塩液中に保管された。コントロールとして用いた健全歯は抜歯後、すぐに試験された。

すべての歯は、指定の観察期間経過後にインストロン型試験機で破折強度が検査された。
その試験結果は保管時間の増加とともに実験群1(水酸化カルシウム貼薬群)の破折強度が明らかに減少することを示していた。
その試験結果は、水酸化カルシウムが充填された幼若歯の破折強度は、その水酸化カルシウムによる充填のためにおよそ1年間で半分になるであろうことを示していた。この所見は、しばしば症例報告として見受けられる長期間水酸化カルシウムで充填された幼若歯の破折について説明してくれるかもしれない。